全国に点在する数多くの廃墟。しかし、それが所在する市町村が公式に一般開放しているというケースはなかなかないのではなかろうか。今回は、そんな所属する市町村が公式に開放している数少ない廃墟「旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地」について、その様子を見ていくこととする。
跡地というよりもはや廃墟「野村総合研究所鎌倉研究センター」
【所在地】
神奈川県鎌倉市梶原4-7-1 【アクセス】 車の場合:構内に駐車場あり(2t車以下に限る) 公共交通機関の場合:JR大船駅・鎌倉駅よりバス乗車、「梶原」にて下車後徒歩約10分 【見学可能時間】 毎日(12/29~1/3を除く) 9:00~17:00 見学料無料 |
旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地は、神奈川県鎌倉市に位置する野村総合研究所の跡地。現在は鎌倉市の所有となっており、建物の中こそ閉鎖しているもののスポーツや散策に利用してもらえるよう一般開放しているのだという。
元々「野村総合研究所鎌倉研究センター」として建設の行われ、野村総研創立の地として1965年に稼働開始したこの場所。しかし、駅から離れている、山の上にあるといった立地の悪さからか、本社・研究センターは1988年に他の場所に移転。2002年には現在の場所がある土地が鎌倉市に寄付され、現在に至っている。最低限の管理は行われているものの、ほとんど全てのエリアが現在に至るまで放置されている状況だ。自身でも冒頭に書いてしまっているが、跡地というよりも「廃墟」という表現が正しいとしか思えない。
そんな旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地だが、その様子はいったいどうなっているのだろうか。ここからは、旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地の様子について、詳しく見ていくこととする。
当時の面影を残す荘厳すぎる外観
旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地の概要と歴史について軽く見たところで、その様子について詳しく見ていこう。建物の所在関係は上の地図の通り。地図で分かる通り、建物は山の上に所在しており、周辺の住宅街とはやや離れた場所に位置している。歩いてみると分かるがなかなかきつい坂を登る必要があり、自動車を持っていない社員の”痛勤”姿が容易に想像できる。
中へと入っていく。9月という夏の時期の訪問であったが、建物へ向かう道には多数の落ち葉があったり、雑草が道端に嫌というほど生えていたり、果てにはアスファルトが劣化していたりと、とても適切な管理がなされているとはいえない状況。「橋の上でのすれ違い禁止 1台ずつゆっくり進んでください」なんて看板まで立っているような状態だし、そのあたりは市側も自覚している模様。
少しずつ道を進んでいくと、まず現れるのは上のような建物。いわゆる「別館」のような建物となっており、後述する本館に比べるとやや規模も小さい。
なおこの別館のような建物の様子だが、なかなか大変なことになってしまっている。中には入れないので何ともいえないが、外がこの状況では中も相当大変なことになっているのは想像に難くない。
そんな別館のような建物を抜けると、いよいよメインディッシュのおでまし。2つの建物から構成される棟たちが年季の入った姿を見せてくれている。
とはいえ、こちらも相当ガタが来ているようで、鉄は完全に錆び付き、連絡通路にある配水管には補強と思われる謎のシートがかぶせられ、建物は黒く色が変わってしまっている。人間なら還暦を超えているような建物だし、そうなるのも仕方ないといえば仕方ないか。
中の様子も立ち入れる範囲で拝見。こちらも相当ガタが来ている模様だ。こりゃ誰かが人のいない間にコソコソと忍び込んで荒らしたのでしょうね。
なお、冒頭にて挙げた「駐車場」はこちらの本館のところに位置している。意外にも人は来ているようだが、その大半は近隣のグランド利用目的だったり、森林浴目的で利用しているようで、跡地観察目的で利用している人は訪問当時いなかった。鎌倉市の考えとは違う目的だったのだろうが、これはこれで良いのかもしれませんね。
建物から繋がるハイキングコースが過酷すぎた件
旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地の裏手には、周辺のハイキングコースへとつながる連絡道が整備されている。ここを進むことにより、野村総合研究所がかつて管理していたグラウンドやその先にある様々なハイキングコースに行くことが出来る。
そんなハイキングコースの中だが・・・実に過酷だった。一応これでも「初心者向け」コースになるようだが、歩いている限り明らかに初心者向けコースではなく、旧野村総合研究所鎌倉研究センター跡地から近隣の道路に出るまで2時間以上かかってしまった。一応これでもそれっぽいコースは整備されているのだが、この状況で「初心者向け」を名乗ってしまうのは・・・個人的にちょっと勘弁してほしいです(汗)
<ハイキングコースについてはコチラ>