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広島に残る謎の鉄道「スカイレールサービス」とは一体何ぞや?実際に乗って確かめてみた

広島県広島市安芸区、広島の市街地とはやや離れた緑あふれる美しい日本の風景を残すエリアに、一風変わった鉄道が存在する。「スカイレールサービス」だ。

スカイレールサービス

・・・いや、どう考えてもゴンドラでしょ。

明らかにゴンドラにしか見えないこのスカイレールだが、しかし法律上れっきとした鉄道の一種として位置づけられている。今回は、そんなこのスカイレールサービスについて、現在どんな状況下にあるのか、実際に乗ってみてどうだったのか、という2点についてレポートさせて頂こうと思う。

急勾配を超える、日本唯一の鉄道

スカイレールサービス

今回やってきたのは、JR西日本山陽本線の瀬野駅。広島駅で各駅停車に乗車し、約20分ほどで到着する。便利とまではいかないが、通勤圏内としては十分な場所だといえよう。東側の八本松駅にかけては急勾配が続く山陽本線でも屈指の難所となっており、一部の鉄道好きからは「セノハチ」だなんて呼ばれている区間になっている、あの瀬野駅である。

それにしても、2021年のダイヤ改正で1時間に2本あった尾道・福山方面に向かう列車が1時間に1本へと削減されてしまった。昨今「鉄道の経営が厳しい」ということがよくニュースで伝えられているが、それは何も田舎だけに限ったことだけではないらしい。JR西日本さん、苦しい中かとは思いますが頑張ってください。

スカイレールサービス

東側に急勾配が続く瀬野駅周辺だが、その北側はどうなっているのかというと、東側よりもすぐ近くまで山が迫ってきており、その山肌にへばりつくかのように住宅が立ち並んでいる。この住宅地の間を通るのが今回特集する「スカイレールサービス」となっており、そこに付く住宅地はこの鉄道と同時に開発されたことから、「スカイレールタウンみどり坂」と呼ばれているようだ。ちょっと安直すぎませんかねぇ・・・。

スカイレールサービス

スカイレールタウンみどり坂はこのような形で開発されている。大きく分けて「みどり中街」駅に代表されるエリアと「みどり中央駅」を中心に開発の進むエリアに分けられており、住宅のみならず、スーパーや保育園、小学校なんかも整備されている。住宅のみならずそれ以外の建物も一体にして開発する例としては千葉県のユーカリが丘なんかが有名だが、ここも民間企業である積水ハウスが開発しているあたり、同じ雰囲気を感じざるを得ない。

スカイレールサービス みどり口駅

本題に戻ろう。JR瀬野駅の改札を出場し、スカイレールサービスのみどり口駅へと向かう。駅の名前こそ違っているが、これら2つの駅は実質的に一体化しており、雨の日でも傘をさすことなく移動することができる。良いね、こういうところ。

スカイレールサービス

この写真を見てもらえればすぐに分かるかと思うが、この鉄道、とにかく昇り降りがエグいのである。それもそのはず、この鉄道の勾配はなんと270‰(パーミル)もあるのだ。度数でいうと約15度ほどだ。(普通の鉄道の中で)日本一の急勾配を持つことで有名な箱根登山鉄道が80‰であるから、このスカイレールサービスの勾配はその3倍以上ということになる。急とかそういうレベルではないんだが、これ。

スカイレールサービス きっぷ

スカイレールサービス 改札口

きっぷを購入し、改札に通す。スカイレールサービスではQRコードによる読み取り式の改札を採用しており、一般的な鉄道に見られる乗車券を採用していない。少々読み取りに時間がかかるのが難点ではあるが、これのおかげで駅を出るときに改札を通る必要が無くなるし、きっぷを回収する必要もなくなるし(回収箱そのものは存在する)、この手の小規模鉄道では便利な存在なのだろう。

なお、改札に「ICカード」と書いてあったため、てっきりSuicaやICOCAも使えるのかと思いきや、どうやらICカードに対応しているのは自社発行の定期券と回数券のみで、それ以外のICカードは一切使えないようだ。取材班はそのことが分からず、最初間違えて自分のICカードをタッチしてしまった。恥ずかしいことしてしまったぜ。

スカイレールサービス みどり口駅

※一部モザイク加工を施しています。

 

階段をのぼり、乗り場へと向かう。ホームドアがあること以外、明らかにゴンドラの乗り場としか思えない場所であるが、先ほども書いた通り、ちゃんとした鉄道である。なお、鉄道とはいえやはり小規模であるということもあり、定員はわずかに25名。そのため、今回のように学校へと向かう学生と一緒になるとこのように急に大混雑の中に飛び込んでいく羽目になる。その点は要注意だ。

スカイレールサービス みどり中央駅 時刻表

このスカイレールサービスだが、昼間は15分間隔、ラッシュ時は最短5分間隔で運転しており、時刻表もちゃんと設けられている。特徴としては、朝ラッシュ時は7.5分間隔、逆に夕ラッシュ時は5分間隔と、朝よりも夕方のほうが本数が多いことが挙げられる。おそらく朝は下り坂である一方、夕方は上り坂になっていることからこうなっているのだろう。通常の鉄道ではまずありえない変わった時刻表を見れる。

ニュータウンと共に生きているが・・・

スカイレールサービス

そうこうしているうちに列車(?)が発車。予想していた通り、さっそくエグいきつさの坂を上がっていく。この坂の上にあるのがニュータウンで、この下にあるのは普通の住宅地となっている。

スカイレールサービス

スカイレールサービスはその後も高度を下げることなく、山の中にあるニュータウンを少しずつ登っていく。もともとこのニュータウンの名前が「スカイレールタウンみどり坂」なんていう名前なので仕方ないといえば仕方ないのだが、やはり山を崩して造成しただけのことはあり、山すその綺麗な光景が見える。とはいえ、階段の上り下りは必須だろうし、老後までいるとなると難しいのかもなぁ・・・。この辺に関しては、兵庫県西宮市の「西宮名塩ニュータウン」に通じるところがある。

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スカイレールサービス

唯一の途中駅、みどり中街駅を抜け、終点のみどり中央駅へと向かう。坂の上を走り、終点へと向かう。スカイレールサービスのスピードは時速15km/hと決して早くはないものの、緑の残る美しい光景が残っていることもあり、窓が開いていることもあって非常に気持ち良い。リフトやゴンドラと違い、公共交通機関ということもあって170円で乗れるのがウソのようだ。

スカイレールサービス みどり中央駅

ゴンドラ・・・じゃない、鉄道に揺られること数分。終点のみどり中央駅に到着。小型鉄道とは思えないほど立派な終着駅である。

そんな「ニュータウンとともに生きる」スカイレールサービスだが、ある一つの問題を抱えている。先ほどの地図を見てみよう。この地図によると、みどり中央駅の駅前には「集会所」と「商業地区」が存在することが書かれているが・・・

スカイレールサービス みどり中央駅前

スカイレールサービス みどり中央駅前

何もなかった。

一応土地は確保されているのだが、そこにあるのは謎の空き地。昔ならジャイアンリサイタルでも行われていたのかもしれないが、世知辛い今ではそんな使い方がされるはずもなく、何もない土地がそのまま放置されている。まあそれでもこうやって整備されているだけ良いといったところか。実際この南側にはスーパーもあるし、ずっとこのまま放置されていくんだろうなぁ、そう感じた取材班であった・・・。


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