近畿兵庫県西宮市

西宮市「西宮名塩ニュータウン」に、バブル建築の面影と住宅街らしからぬ景色を見た。

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西日本の中心、大阪・うめだからJR福知山線(JR宝塚線)に乗ることおよそ30分、兵庫県西宮市の山奥に突如出現する新しい街、「西宮名塩ニュータウン」。住宅都市整備公団(現・UR)が新住宅市街地開発事業の一環として1991年に街開きしたこのニュータウンは、大阪市内から電車で30分ほどと非常に良い場所にあるのにもかかわらず、ある理由から一部のマニアで妙に注目される場所となってしまっている。

西宮名塩ニュータウン

前回の記事では山中に突如出現するオシャレステーション「西宮名塩駅」とそこから広がる謎のエレベーターについてご紹介したが、今回はその続きとして、この謎のエレベーターの先に広がるニュータウン、通称「西宮名塩ニュータウン」についてご紹介しようと思う。

<前回の記事>

住みにくい?西宮市「西宮名塩」に広がる異質すぎる街並み「創造の丘ナシオン」を回る。
兵庫県の中でも大阪と神戸のあいだに位置する西宮市は、阪神タイガースの本拠地「阪神甲子園球場」や住みたい街ランキング関西版で何度も1位を獲得してきた「西宮北口」などを擁する街で、関西...

大阪から30分とは思えない緑の街、西宮名塩ニュータウン

西宮名塩ニュータウン

駅を出て1~2分ほど歩き、斜行エレベーターに乗って頂上までたどり着くと、そこには早速通常のニュータウンとは明らかに印象の違う、崖にへばりつくようにしてそびえたつ家々と遠くに広がる山々の稜線が見える。大阪市内からわずか20キロ、方角的にもこの先には梅田の中心地が広がる場所になるはずなのだが、いったいそんなものはどこへやらといった具合だ。この場所のすさまじさが一瞬で理解できる光景である。

西宮名塩ニュータウン

さて、エレベーターを出てまっすぐ正面へと進んでいくと、西宮名塩ニュータウンへのメインストリートへと到達する。さすがにバブル期の1991年に開発されただけあって土地の使い方も非常に贅沢だ。それにしても、こんな広い場所が整備されているのに人っ子ひとりいないのがとにかく寂しくて仕方がない。もともと12,000人の人口を予定して整備したニュータウンであるにも関わらず現在の人口が6,600人ほどと、半分程度にとどまっていることがその原因なんだろうが、とはいえさすがにこれでは寂しいなぁ・・・。

西宮名塩ニュータウン

そんなメインストリートを進んでいくと、円形のひろーい広場が現れ、ニュータウンの動線が二手に分かれるようになっている。プロムナードと完全に一体となっているこちらの広場だが、一応ここは公園に分類され、周辺の東山台小学校、東山幼稚園といった教育施設と隣接する、ニュータウンの中心的な場所となっているようだ。取材班が訪問した際も子供たちがボール遊びをしており、ボール禁止となる公園の多い中で、この場所では微笑ましい光景が広がっていた。まあ迷惑になる以前に人がいないという要因もあるかと思うんですが。

西宮名塩ニュータウン

それにしても、ずいぶん坂が多いな、このニュータウンは・・・。山を切り開いて作ったニュータウンであるため、当たり前といえば当たり前ではあるのだが、若いうちはまだ良いとしても、年齢を重ねたときにここで暮らし続けることができるのか、少し疑問を感じてしまう部分もあるのは事実だ。下に降りないと買い物もできないしね。

西宮名塩ニュータウン

広場を右に見ながら進むこと数分。エレベーターの頂上からは7~8分歩いただろうか。ここでメインストリートは終点となるのだが、そこにはURの管理物件「東山台ハイツ」なる団地が整備されていた。もともと西宮名塩ニュータウンはURの前身である「住宅・都市整備公団」によって開発が行われたこともあり、この手の物件が非常に多いのが特徴だ。まるでどこかの高原リゾートのようなエリアだが、そこにあるのは団地というね・・・。まあこの辺は公団なので仕方ないといえば仕方ないんですが。

日本都市景観100選の大賞に選ばれるほどの絶景とは

そんな寂しい状況下にある西宮名塩ニュータウンだが、このニュータウンには、他のニュータウンには存在しない大きな魅力がある。景色の良さだ。

西宮名塩ニュータウン

整備された都市計画による美しい街並み、そしてもともと山の上に建てられたということにより、周りに大阪の大都会や宝塚の綺麗な光景が見渡せるということもあり、ニュータウンとは思えない風景が街の周りに広がっている。その結果、1994年(平成6年)には日本都市景観100選の大賞に選ばれたというから驚きだ。

西宮名塩ニュータウン

そんな西宮名塩ニュータウンだが、バブル期に開発されたこともあり、なんだか普通のニュータウンではまず見ることのできない余計な建築物がありとあらゆるところに設置されている。この三角形の見晴らし台も、どっかの観光地なら仰々しく「恋人の聖地」なんて看板が立てられ、2人掛けのベンチや南京錠、謎の落書きがそこらじゅうにありそうなものだが、もちろんそんなものは見当たらない。

西宮名塩ニュータウン 塩瀬中央公園

URの整備っぷりは何も中心部だけに留まらない。ニュータウンの西部にある、ニュータウン内最大の公園、「塩瀬中央公園」にはなにがなんだかよくわからない建築物がそこらじゅうに設置されていた。一見すると何かのコンサート会場に見える写真の場所も、もちろんただの公園である。

西宮名塩ニュータウン 塩瀬中央公園

そしてその上には赤と白の2色に振り分けられただだっ広いグラウンド。昼なら素晴らしい場所であるが、街灯の数も少ないし、夜になると暗いんだろうなぁ。

西宮名塩ニュータウン

最近ではこのニュータウンも資金不足に悩まされているのか、以前は水が流れていたと思われる場所から水が消えたり、水は貯まっているが流れておらず雑草が生え放題になっている場所も見受けられた。まあそもそもニュータウンの中に水が流れている時点でなかなかすごいんですけどね。バブルの頃の認識と今の認識は違う、そう感じる瞬間であった・・・。

駅に近い側は住宅街、遠い側は・・・

西宮名塩ニュータウン 国見台

URによって大規模な開発が行われたこの西宮名塩ニュータウンだが、駅から離れたエリア、地名でいうと「国見台」と呼ばれるエリアは宅地販売もあまり進んでおらず、放置プレイをかましているという。

西宮名塩ニュータウン 国見台

この国見台エリアだが、上のGoogleマップを見ても分かる通り、もともと計画にのっとって開発し、1丁目から6丁目まで番号を振ったにも関わらず、実際は4丁目の一部に住宅が、6丁目の一部に工場や自動車販売店などの店舗がわずかにあるのみで、多くのエリアがメガソーラーへと転用され、太陽光発電を行っているのが現状だ。まあここまで来ると西宮名塩駅の徒歩圏内とはとても言えないエリアだし(20分以上歩くうえに、坂を上ってこなければならないため)、バブル期ならまだしも今となってはこんな状況になるのも致し方が無い。

西宮名塩ニュータウン 国見台

そんな国見台だが、あまりに人がいないのか、最近では「緑地協定区域」なんてものまで作られる始末。都心回帰の流れが続く中で、どこまで伸びしろがあるのでしょうか。いろいろと不思議な場所ですよ、ここは。

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