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住みにくい?西宮市「西宮名塩」に広がる異質すぎる街並み「創造の丘ナシオン」を回る。

兵庫県の中でも大阪と神戸のあいだに位置する西宮市は、阪神タイガースの本拠地「阪神甲子園球場」や住みたい街ランキング関西版で何度も1位を獲得してきた「西宮北口」などを擁する街で、関西人ならその市の名前を1度は聞いたことがあるだろうし、関西以外にお住まいの方も、西宮という名前は知らないまでも、「甲子園」というその名称くらいは聞いたことがあるだろう。

阪神甲子園球場

西宮市にある阪神甲子園球場(画像はWikpediaより抜粋)。

しかし実際のところ「西宮市」の範囲はかなり広く、六甲山地のある市街地からやや離れたエリアも西宮市に含まれていることはあまり知られていない。ただひたすら平地が続く北海道や関東平野に位置する都市とは違うのが、京阪神というエリアの大きな特徴となっている。

「西宮」の名前とは程遠い山中の駅「西宮名塩」

西宮名塩駅

さて、今回やってきたのはJR宝塚線、通称福知山線の「西宮名塩」駅だ。西宮市で最北端に位置するこの駅は、大阪の中心・梅田から快速列車で約30分の場所に位置しており、京阪神圏基準では決して「近い」とは言えないものの、平日の昼間でも15分に1本という運転間隔が確保されており、2005年にはあの痛ましい「福知山線脱線事故」が発生したものの、大阪通勤圏としては十分なエリアとなっている。

なお、名前こそ「西宮」を名乗ってはいるものの、梅田からはJR宝塚線の快速列車で乗り換えなし・約30分、逆に同じ西宮市内にあるはずのJR西宮駅へは尼崎で乗り換え・約40分という不思議な場所となっている。一体なぜここが西宮なのかなんだかよく分からないが、市町村合併がどういうものだったのかということを今に知らしめる貴重な証拠のひとつとなっている。

西宮名塩駅前

そんな西宮名塩駅だが、周辺の西宮名塩ニュータウンの造成に伴って設置された駅ということもあり、1986年の開業と、線内では最も新しい駅となっている。そしてそのせいか、駅前一つとっても実にニュータウンらしい整備された美しい景色が広がっている。なお、この駅前は歩行者専用となっており、自動車やバス、タクシーといった車両の類は自転車も含めこの下にあるロータリーに、というルールになっている。

西宮名塩駅

なお、反対側の出口はこんな感じ。こちらは駅を出てすぐのところにロータリーがある配置となっており、車での送迎に関してはこちらのほうが便利かと。それにしても、駅前の書き方がいかにも国鉄らしいな、と感じてしまったが、1986年といえばまだJRになる前か(国鉄民営化は1987年)。こんな看板がついているのも納得である。

帰宅には「斜行エレベーター」が便利です

西宮名塩駅前

駅前だけ見ると一見普通に見える西宮名塩駅周辺だが、少し歩くとすぐにその異様さに気づくだろう。

ここは一体どういうところなんだ?

と。明らかに谷の上に存在するのがミエミエだし、しかもよくわからない斜めにかかる謎の施設まで存在する。ここは一体どういうところなのだろうか。ニュータウンなんて聞いてたけど、いったいどこにあるのだろうか。

西宮名塩 斜行エレベーター

その答えは、このゴツい施設に隠されている。この施設、実は「斜めに登るエレベーター」となっており、肝心のニュータウンはこれに乗った先の山の上に所在しているのだ。先ほど「この駅は1986年に開業した」ことを書いた。しかしその理由にはもともとここに鉄道が通っていなかったということもあったが、旧線を見ても生瀬~武田尾間には駅がなかったことから、そもそも駅を作る需要がなかったということが容易に想像できる。いわば、このエレベーターはニュータウン維持のため、ひいては駅の維持のための生命線のような存在になっているのだ。

西宮名塩 階段

もちろん道路や階段もあるにはあるのだが、道路では明らかに遠回りだし、階段では長すぎて正直昇り降りがしんどすぎる・・・。そう考えると、この斜行エレベーターがいかに大きな存在なのかを見せつけられる。

エコールなじお

山の上にあるこの西宮名塩ニュータウンだが、駅前には「エコールなじお」なる商業施設があり、スーパー「阪急オアシス」や100円ショップといった生活に欠かせない店舗が入居している。レストランは「マクドナルド」しか入っていないようだが、まあこんな場所だし十分といえば十分なのだろう。宝塚まで2駅だしね。

阪急オアシス エコールなじお

それにしても唯一のスーパーが「阪急オアシス」って・・・。お上品ですねえ。業務スーパーとラムーで暮らす取材班とは無縁の街だと言うことをまざまざと見せつけられる瞬間だ。

西宮名塩ニュータウン

西宮名塩駅からペデストリアンデッキをまっすぐ歩いて行くと割とすぐに斜行エレベーターが現れる。コンクリート打ちっぱなしのカベが安藤忠雄感を彷彿とさせるが、実際は安藤忠雄設計ではなく、彼と同い年の建築家・遠藤剛生による製作だそうだ。あまり馴染みのない名前かもしれないが、HAT神戸や六甲アイランドといったエリアの開発を手掛けており、関西ではなかなか有名な人らしい。本人の建築設計事務所の公式サイトに様々な作品が展示されているため、気になる方は一度ご覧いただければ、と思う。

西宮名塩 斜行エレベーター

西宮名塩には2台の斜行エレベーターが存在し、ふもとの西宮名塩駅前と山上の西宮名塩ニュータウンとの間の高低差60メートル、距離150メートルを2分ほどで結んでいる。開設当時は「日本最長で、かつ最も速い」斜行エレベーターとされていたが、現在では山梨県の「コモアしおつ」に高低差100メートル、距離200メートルという斜行エレベーターがあり、日本最長の座をそちらに譲っている。

西宮名塩 斜行エレベーター

しかし、いくら日本一の座を譲ったとはいえ、片道2分ということは往復で4分+乗降時間がかかることになり、いくら2台あるとはいえども、一度出発するとしばらくエレベーターが来ないのだ。おかげでラッシュ時になるとこのようにエレベーターの前に行列ができてしまう。たまになら良いだろうが、さすがに平日毎日これを経験するとなると、なかなか応えるものがある。

西宮名塩 斜行エレベーター

(※一部モザイク加工を施しています。)

そんなこんなだから、エレベーターの前もこのように人でぎゅうぎゅうだ。「三密」という言葉が生み出され、今や市民権を得るようになってしまったが、ここ西宮名塩ではそんなことおかまいなしとでも言いたげな様子で、今日も大規模輸送の一環を担っている。まあ通勤電車もこんなもんだし、もはやみんな慣れてしまったのだろう。「慣れ」って怖いね。しかしそれでも階段を使わないあたり、やはりこのエレベーターが生命線なのがよくわかる。さすがにキツいよね・・・ おれもキツいもん・・・

西宮名塩 エレベーター上側

さて、頂上にたどり着いた。上から撮る景色もなかなか絵になるな。無機質なコンクリートとその下にある森とのコントラストがまるで美術館のような景色を出しており、実に美しい。そんな頂上には神々の集う天国が・・・あるはずもなく、実際には自然を求めてマイホームを買った人々が集うニュータウンが広がっているのだ。この先にも普通のニュータウンとは違う驚きの光景が広がっているが、一旦ここで切るとしよう。

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西宮市「西宮名塩ニュータウン」に、バブル建築の面影と住宅街らしからぬ景色を見た。
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