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【2023年9月末閉鎖】有楽名店街 阪神元町駅下に残る日本最古級の地下飲食街

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神戸市の地下街といえば三宮の「さんちか」や神戸駅周辺の「デュオ神戸」あたりが有名だろうか。レトロな景色を思い浮かべている方々には高速神戸駅と新開地駅とを結ぶ「メトロこうべ」あたりを思い浮かべるかもしれない。いずれにせよ、これらの地下街は昼夜を問わず多くの人で賑わいを見せており、神戸の衰退が叫ばれる今も全体的に多くの店舗が営業を続けている。

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阪神元町駅

さて、今回は阪神電車の元町駅にやってきた。三宮や神戸駅は分かるが、元町?と考える読者さんの方々もいるかもしれない。しかし、この阪神電車の元町には地下通路が整備されており、この地下通路には、

有楽名店街

日本最古級とも言われる飲食店を中心とした地下街が広がっており、様々な事情を抱えつつも令和の世となった現在に至るまで生き残っているというのだ。今回は、そんな阪神元町駅の地下通路に広がる地下街、「有楽名店街」に関して、その歴史と現況を見ていくことにする。

【2023年9月末閉鎖】 阪神元町駅下の地下街「有楽名店街」

有楽名店街

有楽名店街は、兵庫県神戸市中央区に位置する地下街だ。阪神電車の元町駅の西口と東口とを結ぶ形で約120mにわたって店舗が並ぶ地下街となっている。近隣のさんちかやデュオ神戸と比べると比較的小規模な地下街と言えるだろう。

有楽名店街

有楽名店街の歴史は地下街としては非常に古く、1947(昭和22)年、阪神電車元町駅の地下通路が開通した際に「阪神メトロ街」なる地下街が完成したときにまでさかのぼる。1959(昭和34)年に名称を「有楽名店街」に改称、現在に至るまで今の様子を保ち続けているというから驚きだ。このレベルの地下街が今も現役で残っているというだけで既に奇跡的なのだが、現在に至るまで15ほどの店舗が営業を続けている(「30店舗」と書いてある記事が多く見られますが、2021年12月現在15店舗が営業中(関連記事))。

※上の写真には数多くの店舗の名前が掲載されていますが、閉店している店舗が多くあり、正直あまり参考になりません(笑)

有楽名店街

しかしこの有楽名店街は現在閉鎖の危機に瀕しているそうで、2014(平成26)年には施設を管理する阪神電気鉄道が閉鎖を決定。営業中の店舗に場所の明け渡しを求める辞退に発展し、一大騒動に発展してしまった。

これに対し商店会側は、署名運動による閉鎖の撤回を求める運動を展開(Change.orgに今もその跡を見ることが出来る)。その後は店舗の閉店や2店舗に対して店舗の明け渡しを求める訴訟が提起されたりしたものの、現在も閉鎖されることのないまま残る、という状態になっている。今も13店舗との間で問題が解決されていないそうで、問題の全面解決にはまだまだ時間がかかりそうだ。

2023年9月末での閉鎖が確定しました。訪問はお早めに。

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有楽名店街

有楽名店街の歴史と現状について軽く触れたところで、その様子を見ていこう。地下街ということだが、「飲食店街」と書いてある通り飲食店やスナック店が中心。今時少なくなったデジタル式のメッセージボードまで設置されており、いかにもな雰囲気が既に広がっている。

有楽名店街

中へと歩みを進めていく。料理店やスナックといった店舗が軒を連ねるこの光景は、とても地下街とは思えない。これが「さんちか」と「デュオ神戸」を擁する駅の間にあるというのだから余計に驚いてしまう。

有楽名店街

有楽名店街

天井や壁からは配管がむき出しになており、これらもまたその歴史の長さを今に伝え続けてくれている。建築基準法に適合しないのではないかという指摘を受けることもあったこの有楽名店街だが、その基準も何とかクリアしており、その苦労もともにうかがえるから面白い。

有楽名店街

とはいえ、ここもあくまで飲食店街。「新型コロナウイルス対策認証店」というシールが貼られた一角も見ることができ、非常に不思議な気持ちになる。1947年当時、まさか75年も経ってこんな状況になるなんて想像もつかなかったんだろうな。

有楽名店街

しかしこの有楽名店街、開業から75年という月日が経過したこともあり老朽化は避けられないのか、ところどころにガタが来ている様子がうかがえた。閉鎖するだのしないだのといろいろな話題が出てしまっているような状態だし、こうなってしまうのも無理はないか。

有楽名店街

有楽名店街

閉鎖の危機に瀕する、有楽名店街。施設所有者である阪神電鉄側が耐震性を理由に早期の閉鎖を求めている一方、「昭和の風情が残る街を残して」というキャッチフレーズで5,000通以上もの署名が集まるなど、所有者側と運営者側の見解には大きな差があるのが現状だ。2023年9月末をもって閉鎖が確定したこの有楽名店街だが、今後この地下街はどのような方向へと向かっていくのだろうか。今後の続報が待たれる。

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