神戸市東灘区の人口島・六甲アイランドの建物はどこもバブル期に建設されたせいか、どれをとってもいちいちインパクトが強く、一日中見ていて飽きることがないため本当に面白い。
さて、今回はそんな六甲アイランド内に数多くある建物のうち、六甲ライナー・アイランドセンター駅に直結する複合商業施設「神戸ファッションマート」について、その歴史と現状を見ていくこととする。
元々は卸売の建物でした「神戸ファッションマート」
神戸ファッションマートは、神戸市東灘区・六甲アイランド内に位置する複合商業施設。六甲アイランドの中央やや西側・六甲ライナーのアイランドセンター駅に直結する位置に1991(平成3)年10月1日開業した。年号を見て分かる通りバブル末期に開業した施設となっている。なお、運営は例によって神戸市が資本の半数を握る第三セクター「株式会社神戸商工貿易センター」によって行われている。
建物は1~3Fが商業フロア、4~8Fがオフィスフロア、9Fにイベントフロアがあるという構造。「複合商業施設」という扱いにはなっているものの、どちらかというとオフィスがメインとなっている模様だ。
商業施設感のない景色の広がるこの神戸ファッションマート。というのもそれもそのはずで、元々この施設、卸売用の建物として開業したという経緯があるのはあまり知られていない。このことは神戸ファッションマート公式サイト上にも
神戸ファッションマートは、ファッションの卸売企業が集積した建物としてスタートしました。
と記載されている。
また、館内に設置されている第一種大規模小売店舗の看板にも、「表示年月日 平成12(2000)年1月11日」という記載があり、神戸ファッションマートの開業年1991年と比べて9年も遅い時期の看板が設置されている。このことからも、神戸ファッションマートが置かれていた状況がよく理解できよう。
なお、神戸ファッションマートの近隣に「神戸ファッションプラザ」なる建物があるが、こちらは神戸ファッションマートとは全く別の施設。特に関係がある訳でもないので、訪問の際は注意するようにしたい(しかしこれまたインパクトのある建物ですね(笑))。
美しすぎるアトリウム、人のいない店舗・・・
神戸ファッションマートの概要と経緯について見てきたところで、その中へと入っていくとしよう。平日の昼間という商業施設的にはあまり人の多くない時間の訪問ではあったが、商業施設ではなくオフィスがメインとなっていることもあってか、そこそこの通行量があった。
中に入るといきなり神戸ファッションマートの広告、そして神戸市内の至るところに設置している吹き出しによるプチ知識を説明するコーナーが設置。実際には空きテナントの場所をこのような形で覆っているだけなのだが、これがあるだけでもなかなか見ていて面白い。
そしてその看板群を抜けると、目の前に巨大なドーム空間が出現。1階から10階まで吹き抜け。日本最大級のドーム型屋内空間になるそうで、「アトリウムプラザ」という名称がついているそうだ。
面積にして2,100㎡にも及ぶこの巨大な空間。残念ながら感染症を巡る状況や立地もあいまって訪問時はイベントが開催されていなかったが、1日88万円払えば自由に借りることができるそうだ。21日以上借りると1日11万円まで減額される(安い!)そうなので、お金に余裕のある方は1度借りてみてはいかがだろうか。
商業フロアのショップを見ていこう。「ファッションマート」という名称ではあるが、実際に出店している店舗は家具関係のお店が多く、ファッションと聞いて想像のつくようなお店は少数派。またお店そのものも「営業時間10:00~18:00 水曜定休」といったお店が多く、一般的な店舗と比べてかなり短い営業時間となっている。このあたりは同じく卸売店舗の多く入る「船場センタービルに近いものがあるのかもしれない。
中の店舗を詳しく見ていく。歴史的経緯から卸売りがメインとなっているこの神戸ファッションマートだが、大手百貨店の大丸がお店を構えるなど、意外にもしっかりした店構えの店舗が多い。
お店の様子を見ていく。非常に綺麗な家具が並んでいるが、その多くには店員がいない。どうやら大半のエリアはショールームのような形で使われているようで、モノを買うには店員さんをどこかから呼んでくる必要があるようだ。何だか実にのんびりした時間が流れているが、ニトリで安い家具ばかりを買う我々にとっては実に不思議な空間である。
「なぜ、この場所に」って?それは、わざわざ来ていただきたいお店ばかりあるからです。この理由は後から、考えました。でも、事実です。
という言葉が踊る場所、神戸ファッションマート。お店の魅力は残念ながら貧乏取材班(?)には分かりませんでしたが、そのドーム空間の凄さには度肝を抜かれてしまいました。