先日の記事で、「商店街内で内紛が起きてしまい、その痕跡が今も残ってしまっているアーケード商店街」をご紹介した。
なんだか部外者からは分からない闇を抱えているこの春日野道商店街だが、そんな春日野道商店街の北側・阪急電車の高架を抜けた先にもう1つ、ある事情を抱えるアーケード商店街があるらしい。
その商店街は「大日商店街」という商店街である。神戸市中央区・春日野道商店街の北側に位置するこの商店街だが、先述の春日野道商店街とは異なり東西に貫く商店街となっている(春日野道商店街は南北に並んでいる)。そんなこちらの商店街だが、何だか非常に残念な状態となってしまっていた。今回は、この「大日商店街」について、その現状をお送りすることとする。
終末の雰囲気漂う商店街 大日商店街
大日商店街は、神戸市中央区・阪急春日野道駅から幹線道路を渡った先にあるアーケード商店街だ。神戸市商店街連合会のサイトによると「約200mほど」という記載があるが、実際にはもっと長い距離にわたってアーケードが続く、比較的規模の大きな商店街となっている。
なお、アーケードの入口に「大日6」と書かれているが、これは入口が「神戸市中央区大日通6丁目」にあることに由来する。この商店街は大日通4~6丁目に続く商店街となっており、内部も3つのエリアに分かれていることからこのような書かれ方がされているそうだ。
ちなみに逆側(大日通4丁目側)も見てみましたが、こちらは単に「大日商店会」と書かれているだけ。なんだかみなさんいろいろと事情があるようで・・・。
さっそく商店街の中へと潜入していこう・・・って、これは良くない状況ですね。全体的にシャッターを占めているお店が多く、雰囲気も暗い。おまけに日差しが入らない構造になっているせいで、カメラで一杯まで明るくしてもなんだか残念な景色がにじみ出てしまう。通行人も少なく、がらーんとした状態が続いている。
近年はこの商店街の跡地を利用した再開発も行われているようで、アーケード内にぽつぽつとマンションが建つ光景が見られる。同じ中央区の「サンロードクニカ」でも見た光景だ。ある意味土地の有効活用にはなるのだが、古い景色を残す商店街の中に急にキレイな景色が出てきてしまうので、これはこれでどうなのだろうか。ちなみにこれについては商店街の方々にも聞いてみたが、商店街の中がマンションばかりになってしまうことを嘆いていた。全く同感です。
大日通6丁目を抜け、5丁目へと入っていく。実に立派なアーケードが続いているが、中を通るお客さんの姿は皆無。三宮から1駅でこれかよ、とも思ったが、そういえば三宮駅が最寄りになっている寂しい商店街もありましたね。なんだか神戸市全体が苦しい状況にあるのかもしれません。
ちなみに、大日通4丁目と5丁目に関しては仲が良いようで、アーケード内には「だいにち元気合衆国 大日通商店街4丁目・5丁目」なんて掲示までなされてしまっている模様。春日野道商店街もいろいろありますが、ここも何だかいろいろありそうだ。てか「だいにち元気合衆国」って何やねん。お台場合衆国じゃないんだからさ・・・。
大日通5丁目の中へと入っていく。大日通6丁目と同じく、こちらも開いているお店が少なく、人も驚くほど歩いていない。
しかし、そのせいかそのおかげか、幸か不幸かいかにも昭和らしい建築物が数多く残っており、当時の面影を数多く感じることができる。かつて神戸製鋼や川崎製鉄といった、日本を代表する大企業の工場労働者で賑わったこの商店街も、阪神・淡路大震災やその後の衰退の中で大きく変わってしまったようだ。
この大日商店街の特徴は、「二度以上閉店したお店が多い」というところにある。一度お店が閉まり、その後別のお店が入ったものの、結局それもダメで(これを繰り返し)廃墟となってしまった、というパターンだ。その証拠として、お店の前にある看板とアーケード内の看板が異なっている、という点が挙げられる。商店街側も商店街の復興に向けて相当努力してきたのだろうが、残念ながらそれは報われなかったようだ。
「スーパーのない商店街は終わりだ」
大日通5丁目を抜け、4丁目へと入っていく。ここも他と全く同じ状況。かつてはこのエリアが大日商店街の中で一番賑わっていたそうだが、ここも今はシャッターが閉まったお店が並ぶ。
大日商店街で今もお店を営む方にお話しをうかがった。大日商店街の中でも4丁目が一番賑わっていたのには理由があるそうで、なんでもこの端のエリアにはスーパーマーケットがあり、その関係で賑わいを見せていたのだそうだ。しかし、そのスーパーマーケットが撤退、その影響で人出も大きく減少し、結果今のような状態に至るらしい。
なお、このスーパーマーケットの跡地には長らく「八百屋セブン」という八百屋が入居していたが、こちらもあえなく閉店、現在は建物が解体され、マンションに変わる予定だとか。店主さんいわく、「どこもかしこもマンションで参っちゃうよ。スーパーのない商店街は、もう終わりだね。」だとのこと。確かによく考えれば、この周辺で賑わいを見せる商店街は、どこもスーパーが入居している。同じ神戸市中央区にある大安亭市場なんかが良い例だろう。
大日商店街には「割塚温泉」という銭湯もかつて営業していたのだが、こちらも2019年にあえなく閉業、マンションに建て替えられるのだとか。かつてはこの周辺に3軒の温泉が営業していたのだそうだが、既に全て無くなってしまったとのこと。
大日通5丁目側から商店街の中を見つめる。人のいない寂しげな光景の広がる街だが、この風景はどう変わるのだろうか。商店街らしい姿を残しつつ、商業集積地として再生することができるのか、はたまたマンションばかりが並ぶ住宅地となっていくのか。この先の行方に注目だ。