近畿兵庫県西宮市

問題山積みの再開発事業 JR西宮駅前「フレンテ西宮」の歴史と現状を見る

※本ページにはプロモーションが含まれております。

かの有名な号泣議員のせいでその名を悪い意味で轟かせてしまった街、兵庫県西宮市。しかしそんな状況下でもやはりこの街はファミリー層を中心に根強い人気があるようで、かの有名な「住みたい街ランキング」にも西宮北口を筆頭に西宮市の駅が数多くランクインするなど、その人気の高さには当取材班も驚かされる限りである。

JR西宮駅

画像はWikipediaより抜粋

さて、今回はそんな西宮市の中でもJRの西宮駅へとやってきた。阪急や阪神の西宮が最優等種別である特急も止まる主要な駅なのに対し、JRの西宮は新快速が通過する比較的小さめの駅。21世紀に入るまでは普通しか止まらない駅だったというから、その規模が計り知れる。実際、そのような経緯もあってか、阪急や阪神と比べると駅前も閑散としている。

フレンテ西宮

閑散とした印象の拭えないJR西宮駅だが、そんなJR西宮駅の駅前には様々な面で問題を抱えていたある再開発施設が存在している。今回は、そんなJR西宮駅の目の前に位置する再開発ビル・「フレンテ西宮」について、その問題と現況を見ていくとする。

ゴタゴタ多すぎ再開発「フレンテ西宮」

フレンテ西宮

フレンテ西宮は、兵庫県西宮市池田町にある商業施設だ。フレンテとはスペイン語で「額」を意味するそうで、西宮の玄関口になるようにという意味合いをこめている。なお、運営は例によって地元第三セクターである「西宮都市管理株式会社」によって行われている。これが後々問題を引き起こすのだが、それはまたこの後で。

フレンテ西宮

阪神間で再開発というと「阪神・淡路大震災」を思い起こす方は多いのではなかろうか。一見阪神・淡路大震災の復興に関わる再開発に見えるこのフレンテ西宮だが、その開業は1994年と意外にもその前に行われている。JR甲南山手駅前にも似たような再開発施設があったが、ここと同じような位置づけのようだ。

セルバ甲南山手 サティと「森市場」の雰囲気残る不思議な再開発ビル【兵庫・東灘区】
関西における「甲南」という名称には絶大なブランド力があるようで、その名称を冠した大学「甲南大学」に通う金持ち男子のことを「甲南ボーイ」なんて呼んだりするらしい。関東における「慶應ボ...

フレンテ西宮 コープこうべ

順調な運営を行っているように見えるこのフレンテ西宮だが、実はこの施設には2つの問題が抱えられている。

まず1点目、フレンテ西宮内に核テナントとして入居する「コープこうべ」の撤退問題だ。元々、このフレンテ西宮には「コープこうべ」が核テナントとしてB1~3Fの4フロアに入居しており、開業当初は競合する施設が市内に存在せず、ここから一番近い大型商業施設が尼崎市の「つかしん」だったため、順調な運営ができていたという。

フレンテ西宮

しかしその後、フレンテ西宮周辺に「アクタ西宮(西宮北口)」「ららぽーと甲子園」「エビスタ西宮(阪神西宮)」「阪急西宮ガーデンズ(西宮北口)」などの大型商業施設が次々に開業。特に阪急西宮ガーデンズの開業が決定打となり、コープこうべは「赤字続きでもう無理!!」ということで全面撤退を示唆した。

しかし、これに対し近隣住民が猛反発。JR西宮駅周辺に他のスーパーが無かったこともあり、最終的に食料品・日用品を扱う2フロアのみ営業を継続、残りの2フロアに関しては撤退という結果に落ち着いた。

フレンテ西宮

コチラより抜粋

なおコープこうべが撤退した2フロアに関しては西宮市が買い取り、それをニトリに又貸し。結果、現在はニトリが営業を行っている。この結果、フレンテ西宮には元々の地権者及びコープこうべ等によって構成される「フレンテ西宮管理組合」「フレンテ西宮専門店会」が保有する床と「西宮市」が保有する床が混在するという奇妙な結果となってしまっている。おかげさまで訳のわからない組織図が出来上がってしまっているんですが、大丈夫なのでしょうか・・・。

フレンテ西宮

続いて2点目、フレンテ西宮を運営する第三セクター「西宮都市管理株式会社」の運営に関する問題だ。もともとこのフレンテ西宮はバブル期に計画が行われたこともあり、計画の甘さが問題となっていた。それに加えて

・開業当初に金融機関から借りた15億円の利子負担による経営圧迫

・西宮市からの無利子融資

・収受している賃料より支払っている賃料のほうが多額となっている(他の地権者から借りた床を各テナントに貸しているが、貸した人から受け取っているお金より借りた人に払うお金のほうが多い)

といった問題を抱えており、最終収支こそ黒字となっているものの金銭的に非常に苦しい状況下にある模様。バブルの闇は深い・・・。

再開発の雰囲気がプンプンする内部

フレンテ西宮

フレンテ西宮の歴史について学んだところで、ここからはその現況について見ていくとしよう。何度も書いた通り、フレンテ西宮はJR西宮駅の目の前に位置しており、アクセスはすこぶる良い。かつてはここから阪神の駅まで商店街が伸びていたようだが、阪神の駅が廃止になってしまい、昔の栄華は残っていない。

西宮東口商店街 阪神とJRを結ぶ商店街、そのあまりに切ない現状とは
兵庫県西宮市ほど、阪急・JR・阪神の「差」が現れる街はないだろう。JR沿線まで高級住宅街が広がる芦屋市、阪急沿線にもどことなく庶民的な雰囲気が流れる尼崎市とは異なり、阪急西宮北口駅...

フレンテ西宮 フロアガイド

フレンテ西宮のフロアガイドはこのような具合。一部閉店している店舗もあるが、全体的に多くの店舗が入居しており、なかなかにぎわいを見せているようだ。

フレンテ西宮

中へと入っていく。中はやはり再開発ビル。明らかに元々の地権者が入っていたと思われる店舗がある一方、全国規模のチェーン店なんかもちゃんと入居しており、この混合感がたまらない。近隣の阪急西宮ガーデンズなんかと比べてしまうとその綺麗さという面では思えないが、それもまたこの施設の良さなのだろう。

フレンテ西宮

フレンテ西宮

もちろん、ニトリを筆頭とした全国規模のチェーン店は非常に綺麗に整備されている。この辺が資本主義の本質なんでしょうね。残念ではありますが。

フレンテ西宮

しかしこのゴチャ―っとした感じがたまらない。地元の人に親しまれている証拠なのだろう。訪問時も何人かお客さんがあり、地元の方の憩いの場として機能していることを認識した。

フレンテ西宮

フレンテ西宮

お盆前後の時期に訪問したこともあってか、一部の店舗では夏休みを取っている場所も見られた。しかし1週間も休業するってすごいな。年中無休が基本のショッピングセンターではありえない光景だ。イ〇ンでこんなことしたら怒られちゃいそうですね。知らんけど。

フレンテ西宮

再開発施設として完成したフレンテ西宮。しかしそこには公共施設としての側面もあるようで、上層階には西宮市に関連する様々な公共施設や「フレンテホール」なるホールも整備されており、地元の意向が反映されていることがうかがえる。なんだか宝塚の再開発施設とほぼ同じ構成なんですが、話し合いでもしたのでしょうか(笑)

失敗物件?宝塚市「アピアさかせがわ」のメチャクチャすぎる実態とは
兵庫県宝塚市は宝塚歌劇団や宝塚音楽学校に代表されるように、阪急電鉄の創業者・小林一三が特に力を入れて開発したエリアとして知られており、「阪急の街」と巷では言われている。実際は阪急宝...

フレンテ西宮

本来阪神・淡路大震災とはあまり関係のないはずのこのフレンテ西宮。しかしその内部には「震災復興支援」という名で、植物のタネが10円で販売されていた。一体何がしたいのでしょうか。1日50個限定だそうですので、欲しい方はお早めに訪問を。

タイトルとURLをコピーしました