兵庫県三木市は、豊臣秀吉(当時は羽柴秀吉)の兵糧攻め(三木城の干し殺し)で知られる三木城の城下町として栄えた街である。しかしかつては城下町として栄えたこの街も、現在では神戸電鉄粟生線や神姫バスによる交通手段の発達や住宅開発のせいか、もっぱら「ベッドタウン」と呼ばれるのが関の山といった具合になってしまっている。かつては播磨地方北部の中心都市だったこの街も、神戸や姫路といったより大きな街に押されてしまっている格好だ。
三木市の中心駅、三木駅にやってきた。神戸から神戸電鉄粟生線に乗って約50分、近くはないが決して遠くもない絶妙な場所に位置している。かつては加古川線厄神駅から「三木鉄道」なるローカル線も走っていたのだが、これも現在では廃止、さらに粟生線の三木駅も2018年に下り側駅舎が火事で焼失するなど、明るい話題の少ない三木市だが、今後駅舎が「モダン風」に再生されるという話も出ているし、そちらの方に期待したいところだ。
ちなみに三宮から三木までの運賃は片道760円。これだけを聞くと高く見えるが、湊川~三木を実質500円で移動できるきっぷが発売されていることを考えると、三宮~湊川が150円という点を考慮してこっちを選択するほうが賢いのかもしれない。
北播磨髄一の活気あふれる街のはずが・・・
三木駅前の観光案内マップを見る。もともと三木は三木城を中心とする城下町として発展した経緯があり、それに伴って商人が集まるようになり、商業面でも発展したという具合だ。
しかしそれも神戸市のベッドタウン化・ジャスコの進出により街としての中心が移転、そして今ではそのベッドタウンですら都心回帰に伴い危機的な状況にあるとかないとか言われているが、それはまた別の話。「三木金物」という言葉がブランド化していた時代とは変わってしまいましたね・・・。
哀愁の残りすぎるアーケード
さて、今回メインとなる「ナメラ商店街」のアーケードの入口に来た。神戸電鉄三木駅と三木上の丸駅とを結ぶ間に位置するこちらのアーケード商店街は、1960年代から続く歴史のある商店街で、かつては三木市最大の繁華街として栄華を極めたそうだ。
ちなみに「ナメラ」とは昔の地名である「滑原」という名前をカタカナにしたもので、滑原では読みにくいからこうしたとのこと。なお現在の住所は「三木市本町」。いかにも中心街であることを匂わせる地名である。
しかしその現在の状況はというと・・・ あー、これは良くないですね。シャッターがズラズラと並ぶあたり、かつては相当な繁華街だったこのナメラ商店街も、今では車両規制のされない「アーケードがある、普通の街の一部」に成り下がってしまったようだ。
兵庫県公式「兵庫五国連邦プロジェクト」にも「今やシャッター街と化してますが」という投稿がなされており、クチコミ情報であるとはいえこの状況は県としても否定はできないようである。
青いラインが綺麗なアクセントを生み出すこのアーケード商店街だが、人っ子一人としておらず、開いているお店も一軒もない。これは一体どういうことなのだろうか。恐ろしいほどレトロな空間であるだけに、その寂しさが目立ってしまう。
楽しさいっぱいのお買物は!
ナメラ商店街
といういかにもな看板が、今の状況の厳しさを強調させている。「変わるよ変わる 地球は変わる」ってか。
驚くほどレトロな空間の残るこのナメラ商店街だが、よくよく見てみると食料品に関するお店が非常に少ないことに気付く。全長200mほどの距離を誇るのにも関わらず、なぜか食料を扱うお店がほとんど残っていないのだ。何が起きたのだろうか。非常に気になるが、何せお店が1軒も営業していない上に、通行人もいないため聞くことができなかった。まあもともと閉まっているので今更何か変わるわけでもないんですが。
看板一つ見るだけでもこの商店街のレトロっぷりが感じられる。すいません、いつ作られたのか正直取材班にはわかりません。
今度はこちら。「五百蔵」と書いて「いおろい」と読むそうです。神戸市西区には「五百蔵」という地名も残っているそうだし、この周辺では割とメジャーな名前なのだろう。
ちなみにこの看板に書いてある「三木百貨加盟店」は、「三木百貨専門店会」のことを指しており、現在もネットで検索するとその存在が見つかる。しかしGoogleマップのストリートビューでみたところ、この住所には建物こそ現存するものの、特に看板はなし。どうやら廃業してしまったようだ。
お世辞にも良い状況とは言えないこのナメラ商店街だが、この商店街をどうにかして盛り上げようと、商店街内に上の写真のようなシャッターアートが何か所か設けられ、集客につなげる努力がなされている。
そんなシャッターアートの一部には、写真のように本のようなものが描かれ、この中で「みきのこ」なる物語が描かれている。
み☆きのこ たんじょうひわ
むかしむかし グリーンピア三木(注:現在の「ネスタリゾート神戸」)をみわたせるたかだいにおおきなきがありました。 そのきは子どもたちが大すきでいつもこどもたちをよろこばせていました。
ところがそんなあるひ はっぱがなくなってしまいました。 木は老木になってしまったのです。 だれかぼくのかわりに子どもたちをよろこばせてほしい。 そのときポロリと涙がこぼれかかったみきから小さなきのこがはえたのです。 そのきのこは「み☆きのこ」となづけられました。
すいません、何を言いたいのかよくわかりません。ただ、このナメラ商店街が「老木」に見えてしまったのは取材班だけでしょうか。そんなことなければ良いんですが・・・。