近畿兵庫県宝塚市

かつて存在した湯の街、「宝塚温泉街」は今どうなっているのか【消滅寸前?】

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宝塚歌劇団や宝塚音楽学校等、「歌劇の街」として知られる兵庫県宝塚市だが、ここはかつて市内を流れる武庫川の川沿いに旅館やホテルが多く並んでおり、「温泉の街」として有名だったことは意外に知られていない。

宝塚温泉竣工まつり 写真

そんな宝塚の温泉街だが、ベッドタウンとしての市街地化の進行により温泉地としての情緒が失われたこと、レジャーが多様化し温泉地そのものの来客が減少したこと、阪神・淡路大震災により多くの旅館が被害を受けたこと(例として、当時借入金の返済に苦しんでいた宝塚グランドホテルが2003年に廃業している)などの複合的な要因により、現在では多くの旅館は廃業し、現在ではごくごく一部の宿・温泉のみが残っているという。今回は、宝塚市に所在した「宝塚温泉街」がどうなっているのか、令和の世になった今の視点から見ていくとしよう。

なお、この写真は宝塚南口駅前にある商業施設「サンビオラ」にて見ることができるので、良ければそちらも訪問していただければ、と思う。

昭和後期の風情色濃く残る商業施設・宝塚市「サンビオラ宝塚南口」の今
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温泉街の面影なし「宝塚温泉街」

宝塚温泉街地図

赤い丸の中が「宝塚温泉街」とされていたエリア。 なお、基本的には川の南側(宝塚南口側)に旅館が並んでいた。

宝塚温泉街は、宝塚市の中央を通る武庫川沿いに立地していたとされる温泉街だ。現在の阪急宝塚南口~阪急・JR宝塚駅とを結ぶエリア、特に上の地図でも見られる「湯本町」を中心に整備されていたとされ、全盛期とされる1970年代には年間100万人以上もの宿泊客を集めていたとされる。Yahoo!知恵袋によると1990年代初めまで温泉街として機能していたと書かれているが、これに関してはよくわからない。

宝塚南口駅

画像はWikipediaより抜粋。使いまわしスミマセンm(__)m

そんな宝塚温泉街への最寄りである「宝塚南口駅」にやってきた。周りは先ほども挙げた再開発ビル「サンビオラ」がある他は完全に住宅街といった様相で、ここに本当に温泉街なんかあったのか?と疑問になるほどその面影を見せていない。

旧宝塚ホテル

まあとにかく温泉街があったと言われる場所へ赴くとしよう。駅の西口を出てさらに西へと進んでいく。駅前にはかつて阪急を代表するホテルである「宝塚ホテル」が占めていたが、このホテルも2020年3月31日に営業を終了し、現在はJR宝塚駅に近い場所へと移転してしまった。こちらも跡地にはマンションが建設される予定であり、宅地化がますます進むこと間違いなしといった調子だ。お世辞にも場所が良いとはいえないホテルではあったが、残念だなぁ・・・。

温泉街があった(と思われる場所)をずんずん進んでいく。周りは高層マンションがただひたすら並んでおり、温泉街の面影はどこへやら?と言った感じの雰囲気だ。ガス灯のようなレトロな街灯が並んでいるものの、これが証拠となっているのだろうか、わからない。それにしても、マンションばかりが並んでいるせいで住宅街という感覚を感じることができない。なんていうんだろうか。なんだか住宅街というより、再開発エリアといったほうが正しい気すらする。

宝塚温泉街

そんな宝塚温泉街のあったエリアだが、その並びにはなんとラブな方のホテルがさぞ当たり前かのように営業を続けていた。ラブホテル予約サイト「カップルズ」によると、この「ホテル エレガンス」はなんと宝塚市唯一のラブホテルとなっているのだとか。

宝塚温泉街

そしてそのラブホテルの隣にはカラオケ店やバー、クラブ等が入るこれまたいかがわしげなビルが。その割に1階には「宝塚ファミリー歯科クリニック」が入っていたりしてアンバランス感が大きい。先ほどのラブホテルといい、このいかがわしげなビルといい、なんだか「温泉」という言葉の意味を間違えていませんかね・・・

ちなみに余談だが、このエリアでラブホテルやバーを運営しても問題ないのか用途地域マップで調べたところ、この地域は「商業地域」に分類されるそうだ。そしてWikipediaによると商業地域では風俗施設も建築できるとのこと。なんと、意外にも合法でした。まあそれにしてもちょっとやりすぎだとは思いますけどね。

宝塚温泉街

不穏な雰囲気を醸し出しているこの宝塚温泉街だが、そんな中で今でも宝塚温泉街の系譜を引き継いで営業を続けている旅館がある。「宝塚温泉 ホテル若水」さんだ。1996年開業と、阪神淡路大震災発生後に開業したホテルとなっており、そして今も現役で営業を行っている。なかなかお値段高めの旅館ではあるが、一度泊まってみたいな・・・。

そしてそのホテル若水の向かい側には、「ナチュールスパ宝塚」という名前のスーパー銭湯が整備されていた。温泉らしからぬこのコンクリートむき出しの建物は有名建築家の安藤忠雄によって設計されたもので、開業当時は大きな話題を呼んだものの、施設の評判が悪くわずか1年ほどで一旦閉館、その後民間運営に移行し今に至るのだそうだ。なんだか随分といわくつき物件が多いエリアだな。本当に大丈夫なのか??

宝塚温泉街

そのナチュールスパ宝塚の隣にはこんな自販機と看板が。気になって深く調べたところ、なんと炭酸水のウィルキンソンは宝塚市生まれなのだそうだ。なんでも、明治22年ごろジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が炭酸鉱泉を宝塚で発見し、それが非常に品質の良いものであったことから、その鉱泉を炭酸水の製造に使うことにしたそうだ。現在この自販機が置いてあるところにはかつてウィルキンソンの源水があったそうで、今は使われていないものの、このようにしてその記憶を後世に伝える役割を担っているとのこと。

キコーナ宝塚

しかし、最近の宝塚はどうしてしまったんだろうか。駅から宝塚大劇場へ向かう動線にパチンコ屋は建つわ、温泉街にラブホテルは営業しているわ、なんだか変わってしまったな、そう感じてしまった取材班でした。

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