近畿兵庫県小野市

兵庫県小野市「サンロードおの(小野商店街)」に、地方とは思えない驚きの長さと寂しさを見せつけられた。

※本ページにはプロモーションが含まれております。

兵庫県小野市はそろばんのまちとして有名で、全国のそろばんのうち70%をこの小野市で精算しているという。そろばんが計算機やコンピューターに取って代わり、その需要も減少傾向にある今だが、全体の70%を握っているというのもあるし、「安泰」とまでは言えないものの、産業の一つとしてこれからも小野市の主役を握り続けていくことは間違いないだろう。

小野駅

さて、今回やってきたのは神戸電鉄粟生線は小野駅である。神戸電鉄の始発・新開地から1時間。姫路より近いはずなのだが、新快速で神戸~姫路が40分で行けることを考えると、心理的な距離を感じてしまう。なんでも神戸電鉄粟生線は現在廃線の危機にあるそうで、「神戸電鉄粟生線活性化協議会」なる団体まで作られてしまっている。実際、この小野駅まで来る電車も昼間時間帯は1時間に1本だけだし、お客さんも地元の高校生ばかりだったことを考えると、廃線という憂き目にあうのも時間の問題なのかもしれない。

小野商店街 南側入口

そんな小野駅すぐ、歩いて2-3分ほど歩いたところに地方らしからぬ大規模な商店街があるという話を聞き、今回来た次第である。今回は、そんな小野市唯一となるアーケード商店街、「小野商店街」について、その様子をお届けすることとする。

小野市唯一のアーケード「サンロードおの(小野商店街)」

小野商店街 北側入口

小野商店街は、兵庫県小野市本町に位置する商店街だ。「サンロードおの」という愛称がついており、南北にアーケードが約850m、一直線上に続くアーケード商店街となっている。地方にしては非常に大規模な商店街だ。2016年にはアーケードが新調され、「おの恋」と書かれた文字が強調される一方、「サンロードおの」の文字は消滅し、この愛称はどこへやら・・・といった具合になっているが、何はともあれ、人口5万人ほどのお世辞にも都会とは言えないこの小野市で、アーケードがしばらく存続することになるのは安心だ。ちなみに以前の写真はコチラから見ることができる。

小野商店街

小野商店街の中へと入っていく。アーケードが新調された際に設備の簡略化が行われたようで、お店の存在を示す看板やシャンデリアが撤去されている。一応最低限の証明はつくられているが、まあ芦屋のようにお金持ちがたくさん住んでいる訳でもないし、これくらいあれば十分でしょう。ショッピングモールと違って夜もお客さんがわんさか来るわけでもないし。

ま、芦屋の商店街が全て立派なのかというとそうでもないんですがね。

日本一短いアーケード商店街? 芦屋市「打出商店街」に残る打出の小槌伝説とは【違った】
兵庫県芦屋市東部に位置する打出地区は、あの一寸法師に出てくる「打出の小槌」ゆかりの地であり、日本を代表する作家である村上春樹が中学生時代を過ごしたことで知られるなど、様々なエピソー...
阪急芦屋川駅北「芦屋山手サンモール商店街」はやっぱりシャレオツ商店街でした
関西の富豪が集うと言われる阪神間の自治体だが、その中でも兵庫県芦屋市は「六麓荘」に代表されるように日本全国で見ても髄一のお金持ち自治体として知られており、近年はふるさと納税の影響も...

小野商店街

アーケード内は全体的にシャッターの閉まった店舗が大多数を占めており、人でにぎわう明るい商店街・・・とはとても言えない状況。人も少なく、お店も開いていない場所が多いが、落ち着いた雰囲気の残るレトロ感プンプンの状況が逆にそそる。お買い物はできませんが・・・

小野商店街

小野商店街

そんな商店街の中を歩いていると、いかにも戦前から、いやもっと前からありそうな古い家が商店街の中にちょこちょこと残っていることに驚かされる。なんでもこの商店街は江戸時代から続く由緒ある商店街なのだそうで、現在もその商店街がそのままの規模でアーケード化され、今も残っているのだそうだ。このような町家が残っているのはその名残ということになるらしい。

小野商店街

一体いつ書かれたのかも分からないある、趣のある看板も健在。上書きされすぎて何と書いてあるのか全くわかりませんが・・・(笑)

小野商店街

小野商店街

とはいえ、全体的には昭和~平成初期の風格漂うお店が多く、他の商店街と比べて際立った特徴はないが、850mというその距離と規模のせいか、その数は他と比べて1段も2段も多く見えてしまう。「栄枯盛衰」ってこういうことなんでしょうね。

しかしコニカとはまた懐かしいな。コニカがコニカミノルタになり、そのコニカミノルタはカメラ事業から撤退、それをソニーが継承・・・ すいません、よくわかりません。

小野商店街

小野商店街

営業しているお店もわずかながら残っているものの、その多くは一部シャッターを閉めたり、照明を消していたりと、いったいやる気があるのかないのかよくわからない状態。なんでも「お客さんが来ないから」「暑いから」こうしているのだそうだが、これじゃお客さんも来ないわな、と言いたくなってしまう。さすがに面と向かって言う勇気は持てませんでしたが。所詮私はよそものですよ。

小野商店街

しかしこの商店街は凄いな。「小学館の学習雑誌」と「鬼滅の刃」の共演が見られたり、

亀屋本舗

「亀屋本舗」という和菓子店が今も現役で営業を続けていたりした。「天竺最中」なるもなかが有名だそうで、明治20年の創業から営業を続けているとのこと。

大池

小野商店街がこうなってしまった理由として、「街の中心が移転してしまったこと」が挙げられる。かつて街の中心であった小野商店街は、商店街と池を隔てた向かい側にあるイオン(当初はサティ)が開業、さらいその周辺にホテル「ルートイン小野」やコンビニ、警察署や図書館、そして2020年に移転した市役所までもが集積した結果、この「池の向かい側」に街としての機能、そしてお客さんを取られてしまったのだ。ヒト・モノ・カネを取られちゃ、もう無理よね。うん。

小野商店街

しかし、もうちょっとどうにかならなかったんでしょうか。わざわざ市役所をイオンに近いところに移すあたり、もう完全に確信犯にしか見えないんですが、これは一種の「行政の怠慢」ってやつなんじゃないんですかね。取材班はそう感じちゃったんですが、みなさんはいかがでしょうか。

小野商店街

おかげ様で商店街の一部ではスプロール状に開発が行われてしまい、ボロボロとなった建物が駐車場のど真ん中にドーンとそびえ立つという、まるでアーケード商店街とは思えない奇妙な光景が広がってしまっている。アーケードを一新する程度にはお金があるんだし、どうにかならないんでしょうか、これ。

タイトルとURLをコピーしました