先日、JR高槻駅前の再開発事業のご紹介ということで駅の南側に位置する「グリーンプラザたかつき」なる再開発ビルの記事を公開した。1970年代に開業したビルということで既に様々なところにガタが来ているのは否めないが、現在もJR高槻駅の南側地区を代表する商業施設として多くの人々に利用されている。
そんなJRの駅を挟んだ向かい側、JR高槻駅の北側には21世紀に入ってから新たに開業したこれまた別の再開発ビルが鎮座しており、都市型ショッピングセンターとして非常に多くの人々に利用されているのだという。今回は、そんなJR高槻駅北側の再開発商業施設「アクトアモーレ」及びそれに付随する商店街「アクトモール」について、その様子を見ていこうと思う。
関西圏最大級の組合施行事業「アクトアモーレ」
核テナントがコロコロ変わった「アクトアモーレ」
アクトアモーレは、大阪府高槻市・JR高槻駅の北側にある再開発ビルだ。JR高槻駅北地区第一種市街地再開発事業によって2004(平成16)年に開業した。30階建て及び28階建てのマンション2棟および商業棟(6階建て、ただし最上階2フロアが映画館のため実質5階建て)によって構成されており、その規模の大きさがうかがえる。
核店舗は滋賀県に本社を置く「平和堂」が入居。関西地区では比較的早い出店であり、兵庫県尼崎市の「つかしん」にある平和堂よりも早い。また先ほど書いた通り「高槻アレックスシネマ」なる映画館も入居しており、このエリアでは数少ない駅前映画館として一定の地位を保っている模様だ。
現在でこそ平和堂が核テナントとなっているこのアクトアモーレだが、この裏には複雑な経緯があり、「マルイが出店予定→辞退→十字屋が出店予定→辞退→平和堂が出店」という経過をたどっている。JR高槻駅の駅前という好立地の場所にあるが、なかなか運に恵まれずこのような経緯を経てしまったようだ。
複雑な経緯を経たこのアクトアモーレ。バブルの崩壊や不良債権の処理、関係権利者数が250人もいるなどの様々な壁を乗り越え、現在も元気に営業を続けている。ここからは、そんなアクトアモーレの中身について、取材班が撮影した写真を交えつつ紹介していこうと思う。
まずはそのアクセスから。JR高槻駅の北側、北口を出たところの目の前に位置しており、駅からはペデストリアンデッキを介して直結している。屋根がついているため雨の日でも傘をささずに行けるのは高評価だ。
中の様子を詳しく見ていこう。先ほども書いた通り、核テナントは平和堂。それ以外に映画館や飲食店、雑貨店といった様々なテナントが軒を連ねている。さすがにここは2005年開業、非常に現代的な造りをしており、外から見ていても中から見ていても非常に美しい景色を見せてくれる。
屋内には巨大な吹き抜けも完備。通路がそれほど広くないためやや圧迫感を感じる部分はあるものの、よく駅前再開発でこんな場所を作れたものだと感心してしまう。
なお先ほどの吹き抜けには「アトリウム」という名称がついている模様。アトリウムと言うには少々狭すぎる気がしなくもないが、そんなものか。
全体的に再開発色があまり見られないこのアクトアモーレだが、それでも中には段ボールの姿が表までどーんと出されてしまっているコーナーも設置されており、ここが再開発ビルであることをひしひしと感じさせる。どうやら再開発前の権利者は後述する「アクトモール」のほうに流れている部分があるようで、上の写真のようなテナントはあまり見られなかった。(なお、このお菓子市も月に1回行っているもので、常設ではない模様)
しかしこりゃすごいな。昔から営業している(と思われる)テナントと、再開発で入った新規のチェーン系テナント、そして核テナントが、少々落ち着かない部分はあるものの見事に融合しており、非常に違和感のないように仕上がりきっている。丸井・十字屋が出店を辞退したあたり、百貨店の出店を当初は考えていたのだろうが、今のような結果になっているのなら大ちでは?と感じる取材班でした。
既存の商店街を縮小・再整備「アクトモール」
アクトアモーレの入る再開発ビルの北側には、アクトアモーレと同時に作られた「アクトモール」なる商店街が造営されており、アクトアモーレほどではないもののそれなりの人出を見せている。
アクトモールは商店街ではあるものの、実際にはアクトアモーレと一体的な運営が行われおり、公式サイトでも「フロアで探す→アクトモールの店舗」「館内マップ→1Fのアクトモール」という形で店舗の詳細を見ることができる。
そしてその性質からか、個人店だけでなく多くのチェーン店もテナントとして入居。既存の商店街とは一味違う、非常にバラエティに富んだ空間が形成されている。
アクトモールの面白いところはその構成に留まらない、このアクトモールなる場所には、かつて「高槻一番街」という全く別のアーケード商店街が営業していた。それをアクトアモーレ及び駅前ロータリーを整備する際、アーケードをまるまる撤去し、駅前ロータリーを整備するために規模を縮小したうえで「アクトモール」として整備し直すという荒技をやってのけたのだ。その証拠に、アクトモールの西側には「芥川商店街」なる商店街が今なおアーケード付きで営業し続けており、さながら新旧共存といった雰囲気を醸し出している。
なおJR高槻駅前広場は今後さらなる再開発が予定されており、今後大きく景色が変わると予想される。今後の動きに注目だ。
JR京都線・神戸線街と駅の1世紀 懐かしい沿線写真で訪ねる /彩流社/生田誠