日本の産業経済をリードしてきた街・尼崎臨海地域。重化学工業を中心に多数の工場が進出し、京阪神地区の需要を支えてきた。しかしその一方、環境面で様々な課題が噴出。現在は2002(平成14)年に作成した「尼崎21世紀の森構想」により、緑地や運河の整備を行い、その街並みは大きく変わろうとしてきているところだ。
そんな尼崎臨海地域の北端・道意町周辺には、尼崎臨海地域では唯一となる商業系施設の開発が行われ、現在に至るまで営業を続けている。今回は、そんな尼崎臨海地区唯一の商業施設「アマドゥ」について、その様子を見ていくこととしよう。
紆余曲折ありすぎ再開発「アマドゥ」
アマドゥは、兵庫県尼崎市にある商業施設。尼崎臨海地区内の工場跡地を対象とした再開発により、平成14(2002)年12月に開業した。
現在でこそ一商業施設として営業を続けるこのアマドゥ。しかし元々ここには研究開発施設が整備される予定で、研修施設やサービス施設などを整備する予定だったのが、コーナンやコジマの出店が後から決まったため整備計画が変更され、今に至っている。とはいえ、この結果として阪神高速の路外パーキングエリアに指定された部分もあるし、結果オーライといえば結果オーライか。
なお、元々尼崎には「あまがさきチルドレンズワールド(仮称)」なるテーマパークが整備される予てで、教育・レジャー施設の整備が行われる予定だったそうだが、USJの開発により現在は立ち消えに。もしかしたらこのアマドゥはかつて存在した計画を別の形で実現したものなのかもしれないですね。
妙にハワイアンな中身が面白い件
アマドゥの概要について軽く触れたところで、その中身へと入っていくとしよう。施設の入口にはヤシの木が多数植えられており、非常にハワイアンな雰囲気が醸し出されている。とはいえ、入口から「スポーツデポ」に「松屋」の看板がデカデカと掲げられており、微妙な雰囲気が出されてしまっている。見ていて面白いな、これ。
中のテナントはこのような感じ。ちょっとした郊外にありがちな大規模テナントが多く並ぶ構成で、テナント数そのものは10ほどと、正直数は少ないと言わざるを得ない。とはいえこの手の商業施設は平地の少ない阪神地区では貴重な存在。駐車場が広いのもあるあたり、車での利用をはっきりと想定していることがうかがえる。そりゃ阪神高速のPAにも指定されるわな。
中の様子を見ていく。この手のモールにありがちな広い通路が目を引く。明るい雰囲気に青と緑という派手な色をした方向看板というその構成がいかにも日本らしくない。取材班を含め、利用者は日本人がほとんどなんですけどね(笑)
館外には至るところにヤシの木が植えられ、異国風の雰囲気に華を添えている。阪神尼崎からそれほど遠くない場所にあるこのアマドゥだが、それを感じさせないいかにも上品な気風が出ているのには驚きだ。まあ実際は例に漏れず庶民的なお店ばかり並んでいるのが実情ですけれども。
しっかし実にだだっ広い場所だな。もしこの場所が予定通り研究施設として整備されていたら今頃どうなっていたのか、逆に気になって仕方がない。
尼崎臨海地区の工場跡地再開発。その中で紆余曲折を経て完成したこのアマドゥなる施設には、妙にアメリカンな雰囲気を感じさせる風景と実に庶民的な店舗の数々が広がっていましたとさ。