周辺の再開発がひと段落し、現在では落ち着いた景色を見せている近鉄生駒駅周辺。その再開発の歴史は古く、現在の姿の元となった再開発協議会が設立されたのは1988(昭和63)年のことだというから驚きだ。
そんな生駒駅周辺の再開発事情だが、最後のエリアが完成したのは2014(平成26)年と割と最近のこと。駅の北口、「アントレいこま」の北側に「ベルテラスいこま」という施設が開業したことにより、一連の再開発が完了したといえよう。今回は、そんな近鉄生駒駅周辺では最後発の開発となった「ベルテラスいこま」について、その様子を見ていくことにする。
生駒駅前再開発の完成形「ベルテラスいこま」
ベルテラスいこまは、近鉄生駒駅北側に位置する再開発ビル。再開発事業「生駒駅前北口第二地区第一種市街地再開発事業」によって2014(平成26)年に開業した。
現在でこそ美しい姿を見せるこのベルテラスいこま。しかしその裏には複雑な経緯があり、それを簡単に示すと、
・1988(昭和63)年 再開発協議会が設立
・1995(平成7)年 ホテルや大型商業施設を誘致する基本計画案を策定
→不況の影響で実施が難しい状況に
・2004(平成16)年 市民ホールを軸とする施設計画案を策定
→費用面で断念
・2008(平成20)年 再開発準備組合が設立
・2011(平成23)年 再開発組合が設立、工事開始
・2014(平成)26年 オープン
となっており、二転三転していることがうかがえる。なおベルテラスいこまは、再開発事業の良い例として日本都市計画学会より「関西まちづくり賞」を受賞しているが、その理由の一つに「事業着手後、短期間で完了したこと」が入っているのだとか。早い・・・のかな・・・(笑)
公共と商業の両立した空間が素晴らしすぎる件
ベルテラスいこまの概要と紆余曲折あった裏側を見てきたところで、その中身に入っていこう。建物は生駒駅北口・ペデストリアンデッキの先に位置しており、アクセスは良好。隣に百貨店の入居する「アントレいこま」も入っており、お買い物回りにも使えそうだ。
2022年訪問時のフロアガイドはこんな感じ。下層階に商業系店舗が、上層階に病院や図書館などが入る典型的な再開発ビルといったところか。なお、フロアガイドでは1階と2階に近商ストアが入居していることになっているが、実際のところ近商ストアは1階建てとなっている。単に天井が高いから2フロア分占めている、というのが実情のようだ。
1階からその様子を見ていこう。1階には近鉄系のスーパー「近商ストア」が入居。かつては生駒駅の南側「グリーンヒルいこま」に入居していた近商ストアだが、このベルテラスいこまの開業とともに北側に移転。施設の新しさもあいまって美しい姿です。
3階へと上がっていく。この階はベルテラスいこまのメインの階となっており、商業系店舗が一同に集うほか、「ベルステージ」という屋外広場が設置されており、様々なイベントを行うことができるようになっている。建物のその特異な構造もあって美しい景色が作られているのがいかにも今風で良いですね。
この商業系店舗の中には「おちやせん」という生駒市のアンテナショップもあり、商工会議所が中心となって運営を行っている。「おちやせん」という名称は生駒市の伝統産業「茶筌(ちゃせん)」から来ているそうだ。
商品を見ていく。ここに並んでいる商品は「生駒の特産品」「ふるさと産品」などが中心となっている。お店の商材を商工会議所側で入手したうえで販売を行っている模様だ。なかなか面白い商品が並んでおり、見ていて非常に面白かった。
最後に商業エリアを抜け、上層階へ。このエリアには病院や図書館が営業しており、こちらも多くの人で賑わいを見せていた。1フロアのみの営業もあり広くはないものの、郷土資料などの貴重な資料も多くありなかなか楽しめた。どのような施設が成功するのか予測するのは難しいですが、これはこれで一つの成功例なのかもしれませんね。