日本に住んでいる人間で、「コープ」という名前を知らないものはいないだろう。正式名称を「生活協同組合」というこのコープは、食品や日用品といった生活必需品を中心に様々な品を激安とはいかないまでも庶民にも手が届く価格で提供しており、当取材班も大変お世話になっている。
そんな全国に名を轟かせるコープだが、その中でも兵庫県を中心に展開するコープこうべの規模の大きさには目を見張ることがあることで知られており、地元の方々からは「コープさん」と、さん付けで呼ばれるなどで、その信頼性の高さには驚くべきものがある。

画像はWikipediaより抜粋
さて、今回はJR神戸線/六甲ライナーの住吉駅にやってきた。先ほどの通り2つの路線が接続する駅で、時間帯を問わず老若男女多様な方々で賑わっている。少子高齢化の叫ばれる日本だが、この住吉駅周辺においてはどこ吹く風といった状況だ。
そんなJR住吉駅の北側、駅に直結する部分には駅に直結する形でターミナルビルが整備されており、1989年の開業から今に至るまでその姿を今に伝えている。そしてその中には、なんと「コープの百貨店」なるものまで入居しているのだという。今回は、そんなコープの百貨店が入る商業施設、「リブ住吉(住吉リブ)」について、その状況を見ていくこととしよう。
※現状、この商業施設には「リブ住吉」「住吉リブ」の名称が混在している状況です。状況を鑑み、当サイトでは双方の名称を提示しています。
JR住吉駅直結!「住吉リブ(リブ住吉)」
バブルの残り香漂う建築
リブ住吉(住吉リブ)は、兵庫県神戸市東灘区に位置する商業施設だ。JR神戸線・住吉駅の駅舎建て替えに伴い、1989(平成元年)のターミナルビル完成とともに開業した。なお、運営はJR西日本の関連会社にあたる「JR西日本アーバン開発株式会社」によって運営されており、実質的な駅ビルの1つとして現在に至るまで運営が行われている。
さっそく中へと入っていこう。入口は地上階にあたる1階・駅の改札のある2階の双方に設けられており、アクセスに関しては言うことない。1989年と、バブル期に開業したこともあり、ところどころに現在の駅ビルにはない不相応な景観が見られるが、これがいかにも百貨店らしさを演出していて非常によくできている。この絶妙な感じがたまらないんですよね(笑)湊川にも似たような場所があるが、リブ住吉(住吉リブ)に比べるとこちらはだいぶ開業が古い。

1階入り口近くにはなんと噴水まで設けられてしまっている。旧マイカルなんかだとよく見る景色だが、駅ビルに設けてしまうのは珍しい。こちらの記事によると、この噴水は「灘目の水車」という名前がついているそうで、六甲の山や水車をイメージして作っているのだそうだ。
駅の中には広大な吹き抜けも整備されており、駅ナカという制限のある中とは思えないほどの景色が広がっている。JRさん、力入れすぎだぜ・・・
コープこうべの百貨店形態「シーア」
内部へと移っていこう。訪問時(2021年10月)のテナント構成はこんな感じ(最新のテナント構成は公式ホームページからどうぞ)。全体のうち半分以上がコープこうべのテナント「シーア」が占めており、実質的な核テナントとして君臨しているような状況で、それ以外にもユニクロや書店、100円ショップ等、普段づかいには困らない構成になっている。さすがに駅直結、空きテナントはほとんど見られない。
中へと行ってみよう。まずは核テナントとなる「シーア」から。日本食糧新聞の記事によると、この建物は「生協型百貨店」という位置づけで開発されたものなのだそうで、1989年の開業当初から現在に至るまで、一貫してこの地での営業を続けているのだそうだ。かつてはJR西宮駅前の「フレンテ西宮」にも似たようなものがあったが、残念ながらこちらは閉店してしまった。

「生協型百貨店」という触れ込みで開業したこのシーアだが、売り場を見る限り百貨店らしい景色が無いから面白い。百貨店とはいえ、メインは「生活協同組合」。誰でも買える価格設定を考えると、このような質素な売場となってしまうのは仕方ないのかもしれない。
そんなリブ住吉(住吉リブ)の向かいには、なんとコープこうべの本部が鎮座していた。ここは本部の目の前、立派なお店を建てたかったのかもしれませんね。
専門店が優秀すぎて・・・
コープこうべが巨大な店舗を構えるこのリブ住吉(住吉リブ)。しかし、実際の人の流れはどうかというと専門店のほうが賑わっているのが実情のようだ。周りの友人にも聞いたが、コープは「高くはないが安くもない」というのがもっぱらの評判。同感です。
学生が多い土地柄ゆえか、スターバックスも見事に軒を連ねていた。いったいどのテナントが主役になっているのでしょうか、いったい全体よくわかりません(笑)
JR京都線・神戸線街と駅の1世紀 懐かしい沿線写真で訪ねる /彩流社/生田誠