近畿兵庫県尼崎市

尼崎市初の大規模再開発「塚口さんさんタウン」が再々開発で大変貌した件

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阪神間を結ぶ鉄道といえば、何と言っても阪急・JR・阪神の3路線。しかし尼崎市における存在感となると、新快速が止まるJR、特急の止まる阪神とは異なり、阪急神戸線は最速達種別である特急が尼崎市内を通過してしまうせいか、少々その影が薄い気がしてならない。居住環境という面では抜群なんですがねえ。

阪急塚口駅

さて、今回はそんな尼崎市内に位置する阪急の駅の一つ、塚口駅にやってきた。神戸線と伊丹線との結節点として古くから商店街が形成されるなど、大きく発展したこの街。しかし近年は周辺にある工場が撤退、今はもっぱらベッドタウンとしての機能が主となっているようで、その客層にも大きな変化が現れている模様だ。

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塚口さんさんタウン

そんな阪急塚口駅の南側には、尼崎市初の大規模市街地再開発事業の一環で開発された商業施設が位置しており、しかもその施設も老朽化が進んできたことから、現在はそのうちの1棟で「再々開発」が行われているのだという。今回は、そんな過渡期を迎える再開発ビル「塚口さんさんタウン」について、その歴史と現況を見ていくこととしよう。

尼崎市初の大規模再開発「塚口さんさんタウン」

塚口さんさんタウン

塚口さんさんタウンは、兵庫県尼崎市に位置する再開発ビルだ。1番館・2番館・3版館の3つの建物から成り立っており、開業から現在に至るまで現在を見守り続けている。「さんさんタウン」というその特徴的な名前は、「3棟のビル」「さんさんと輝く太陽がこの街に降り注ぐように、という願い」という意味が込められているのだそうだ。

塚口さんさんタウン

塚口さんさんタウンの歴史は、1960年代の高度経済成長期までさかのぼる。阪急塚口駅は周辺に工場が多くある関係上、「綺麗で早うてガラアキで」が名物となった阪急神戸線沿線でも早くから発展していた。しかし、その発展の過程で無秩序な開発が進行。これにより生じた様々な課題を解決するために再開発が行われ、最終的に1978年、尼崎市初の市街地再開発施行事例として開業した(尼崎市のホームページによると「潮江第1地区第一種市街地再開発事業」の方が先ではあるが、大規模再開発ではないため除外)。ここに関しては公式サイトに当時の写真が掲載されているので、よろしければどうぞ。

塚口さんさんタウン

開業当初から現在に至るまで大手GMSチェーン「ダイエー」が核テナントとなっている、この塚口さんさんタウン。しかし、著書「まちが生まれ変わる時 駅前再開発の実態」によると、当初はダイエー以外に百貨店を入居させる計画があったそうで、3番館の中にはそのスペースまで用意していたそう。しかし、近隣に「グンゼタウンセンター つかしん」が開業、その中に西武百貨店が出店した関係でその計画は取り消しになり、結果的にダイエーの食品売り場を3番館に、衣料品等の売り場を1番館に立地させることで決着したのだとか。なんだか非効率な気もするが、再開発を行うには仕方ないんでしょうね。

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メインの商業棟 1番館

塚口さんさんタウン

塚口さんさんタウンの歴史について軽く触れたところで、その中身へと入っていくとしよう。まずは1番館から。元々は1・3番館に商業関連の施設が分散していたが、3番館が住宅との混合ビルとなった今、メインの商業施設はこの建物となっている。

塚口さんさんタウン

中へと入っていこう。かつては建て替え前の3番館に食品売り場が位置していたが、建て替えとともに移転、現在はダイエー・専門店ともにかなりの部分がこの1番館に詰め込まれている。少々手狭な印象もあるが、ここは仕方がないだろう。最低限の機能はそろっているので生活には困らないはず。

塚口さんさんタウン

塚口さんさんタウン

館内には家電量販店や書店、尼崎市のサービスセンターなんかも入居しており、駅前再開発の割には非常に利便性が高い。1978年開業ということもあり古さは否めないが、40年オーバーの物件とは思えないほど綺麗にされているので心配しなくても良いだろう。

塚口さんさんタウン

ビルの駅側には映画館「塚口サンサン劇場」も入居しており、現在では珍しい独立系ミニシアターとして営業を続けている。なお再開発の経緯上、開業当初はポルノ系の映画を上映していた時期もあったそうだが、もちろん今ではそのような映画は上映されていない。今どき、再開発ビルでポルノなんか上映してたら大問題ですしね・・・(苦笑)

塚口さんさんタウン

そんな劇場の横にはダイエー時代の矢印が今も残されていた。ファンの皆様、ご査収くださいませ。

元・唯一のマンション兼務 2番館

塚口さんさんタウン

1番館の次は2番館へと進もう。「塚口さんさんタウン 2番館」の古びた看板がその歴史の長さを感じさせる。

塚口さんさんタウン

塚口さんさんタウン2番館は「住宅」がメインとなっているのが大きな特徴で、高層階を中心に多くの部屋が立ち並んでいる。開業当初は再開発エリアで唯一住宅が入る建物となっており(現在は3番館にも住宅あり)、駅前立地というその条件もあいまって大変な人気だったそうだ。

塚口さんさんタウン

塚口さんさんタウン

中へと入っていこう。地上階にあたる1階には飲食店が、2階以上の階には学習塾や事務所などが入っており、生活必需品を扱うお店がないこともあってか全体的に閑散とした雰囲気が広がっている。

塚口さんさんタウン

全体的に閑散とした雰囲気の広がる2号館だが、意外と客足はあるようで、テナントの入りも全体的に好調ときたから面白い。年季の入った建物ではあるが、相当成功しているのではなかろうか。同じ尼崎市が開発した「出屋敷リベル」とはえらい違いだ。

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塚口さんさんタウン

この塚口さんさんタウンなる建物、実に様々なお店が立地しており、中にはこんな感じで哀愁漂う立ち食いそば屋さんなんかも営業したりしている。実に不思議な場所だ・・・。

塚口さんさんタウン

メニューを見ていく。かけうどん・かけそばは200円、きつねうどん・たぬきそば・天ぷらうどん・天ぷらそばは230円・・・。最近の再開発ビルにありがちなシャレオツ感はもちろん皆無。とても阪急神戸線沿線とは思えないが、建て替えの進む今、今後が案じられる。

塚口さんさんタウン

しかしこの様子を見るに、老朽化も進んでいることも考えると建て替えが行われるのは時間の問題だろう。JR尼崎や阪急西宮北口等、周辺の再開発も進んでいることだし、お客さんの流れを変えるにはこれが最善の策なのは事実だが、地元から愛されるお店をなくさずに街を変えていくにはどうすれば良いのか、真価の問われる時だ。

再々開発されました 3番館

ソコラ塚口クロス

ソコラ塚口クロス

最後に向かうのは3番館。こちらは1・2番館と異なり、再々開発が行われ「ソコラ塚口クロス」という新しい商業施設及び「プラウド阪急塚口駅前」というマンションが2022年11月2日に開業している。

ソコラ塚口クロス

ソコラ塚口クロス

建物は地下1階・1階・2階が商業施設、その上の階がマンションという構成。イオンフードスタイルbyダイエー・ダイソー・パントリ―が核テナントとなっているようだ。ダイエーは塚口さんさんタウン1番館にもあり、一部需要の食い合いが予想されるが、元々1番館にも3番館にも出店していたので問題ないだろう。実際、1番館のイオンフードスタイルbyダイエーは一部を除き今後も営業を継続するようだ。

館内の様子はこんな感じ(混雑で撮影できませんでした。申し訳ありません)。最近の商業施設にありがちなやつですね(笑)新しい商業施設なので当たり前ですが、めちゃめちゃ綺麗でした。

ソコラ塚口クロス

ソコラ塚口クロス

そんなソコラ塚口クロスの館内には恐竜の姿がちらほら。これは「かいじゅうソコラ」というキャラクターで、全国各地に展開する「ソコラ」という名前の商業施設にいるオリジナルのキャラクターのようだ。可愛らしいですね。

ソコラ塚口クロス

梅田から各駅停車の利用でも10分少々で到着する塚口駅周辺。再々開発が一旦区切りをつけた今、その未来はどう変わっていくのか。今後も注目です!!

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