北海道

北方領土返還要求運動発祥の地「北方館 望郷の家」で北方領土問題の真髄を学ぶ。

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先日の記事で、北海道根室市に所在する本州最東端の地・納沙布岬についてご紹介した。

観光には向かない?本州最東端「納沙布岬」に見る日本の存在価値とは。
広い北海道の中でも根室市はその最東端に位置しており、隣の市、釧路市までは車で約2時間弱、最寄りの空港である根室中標津空港までは「根室」とついているにも関わらず約1時間20分と、「北...

そんな「もはや東京よりロシアに行った方が近い」レベルの陸の孤島っぷり・孤立っぷりを見せる納沙布岬だが、日本の抱える重大問題の一つ、北方領土問題を抱えているだけあってか、知名度の割には随分と豪勢な施設や設備が並んでいることを思い知らされる。このことについては先日の記事で指摘した通りだ。

北方館 望郷の家

北海道 根室振興局公式サイトより抜粋

さて、今回やってきたのは納沙布岬のすぐ近く、望郷の岬公園内に位置する「北方館」「望郷の家」なる施設だ。名前が異なることからも分かる通り、2つの建物からなるこちらの施設だが(手前が「望郷の家」、奥が「北方館」)、2階で両館がつながっていることもあり、実質的には1つの建物として運営されている。その割には「北方館」のほうの運営は独立行政法人、「望郷の家」のほうの運営は根室市が行っていたりと、なんだかちぐはぐな感じのあるこの資料館だが、結論から言うと非常に面白い資料が大量に集まっていた。ということで今回は、こちらの2つの資料館についてご紹介しようと思う。

北方領土問題を考えさせられる資料館です

北方館入口

先ほども書いた通り、北方館と望郷の家は望郷の岬公園内に位置している。公園に併設されている駐車場や納沙布岬バスターミナルからも近い場所に位置しており、アクセスに関しては悪くないといえよう。納沙布岬自体が遠いのは事実かもしれないが、本州最東端という性質上、それに関しては仕方ないだろう。また、入口も北方館側と望郷の岬公園側に1か所ずつ存在しているが、一般には北方館側から入るのが正解のようだ。まあこれに関しては別にどっちでも良いんですけどね。なお、入館料に関してはどちらも無料となっている。

北方館

北方館の中を入ると、望郷の岬公園にあるモニュメント「四島のかけ橋」の模型とその解説、そしてそのとなりには北方領土返還に関する署名用紙が置かれていた。残念ながら取材班は写真撮影を忘れてしまったのだが、我々が来訪した2021年4月初旬までに累計で9,000万筆近くの署名がされているとの看板が掲示されていた。おそらくのべ人数ではあるのだろうが、ものすごい数である。近年、「若者の〇〇離れ」なる言葉が盛んに報道されており、北方領土問題もこれの1つに含まれているのだろうが、この状況を見る限り、若者もちゃんと考えているようだ。若者のみなさん、エラい!!

北方館 日本領土領海排他的経済水域図

その近くには「知っていますか 日本のカタチ」という地図が堂々と貼られており、今の日本が直面する領土問題に関する解説が加えられていた。マスコミの皆さんは狂ったように「日本は狭い」と吹聴しているし、ディ〇ニーは「It’s a small world」なんて言ったりしているが、結局日本は広いのだ、そう感じる瞬間だ。まあこの地図で一番目立っているのは北方領土でも竹島でも尖閣諸島でもなく、「南鳥島」だと取材班は感じちゃいますが(笑)

北方館

北方館

階段を上がり、2階へと上がる。北方館と望郷の家は、外観こそ大きいがその中身は案外規模の小さい資料館となっており、2つの資料館を合わせても30分ほどあれば余裕で回れてしまう。なんだか見掛け倒し感のスゴい場所だが、入場料もかからないあたり、財政的にも厳しいものがあるのだろう。仕方ないか。

北方館

2階に到着した。2階には北方領土に関する様々な写真が展示されているほか、納沙布岬から北方領土を見るための望遠鏡が設置されている。望遠鏡はなぜか数台設置されており、全て無料で見ることができる。この辺も「北方領土関係だから」とかいろいろ言って補助金を出してもらっているのだろう。なんだかここまで無料だと申し訳なくなるな・・・

北方館 望遠鏡

「メガネつけてて望遠鏡じゃ見づらいよ~!!」という方も大丈夫。テレビを使った望遠鏡もちゃんと整備されている。こちらも利用料は無料だ。ブラウン管テレビのため画質はお世辞にも良いとは言えないが、それでもこの手の望遠鏡がタダで使えるというだけでもかなりの儲けものだろう。

なお、こちらのテレビ式望遠鏡、驚いたことに音声案内がついている。「望遠鏡を左側の1の位置に合わせて下さい。こちらで見えるのが〇〇島です。〇〇島は~」といった具合である。なんだか無駄にハイスペックでびっくりしてしまうが、人が全然いないのも相まって寂しくて仕方がない。字幕にするとか、もうちょっとどうにかならなかったのかな・・・。

北方館

北方領土の事柄ばかり書かれているこの北方館だが、その中にはどういうわけか過去の政治家訪問に関する写真が一覧になって展示されていた。いったい何がしたいのか全くわからないのだが、とにかくこれだけの政治家がこの場所を訪れたということは紛れもない事実のようだ。しかしこれだけの政治家をもってしても解決しない北方領土問題って・・・ 日本の政治家がどうとかこうとかいう問題は置いておいて、やはり一筋縄ではいかない問題だということがよくわかる写真である。

望郷の家

さて、北方館についてひととおりご紹介したところで、続いては「望郷の家」へと入っていくとしよう。望郷の家の構造は非常にシンプルで、1階から2階までひたすらスロープが続き、その周辺にひたすら資料が貼られている、という構成を取っている。また、1階にも大量の資料が展示されており、「史料」という面での資料は少ないものの、大量の解説があることもあり、狭い館内ではあるがかなり見ごたえがある。

望郷の家

望郷の家

望郷の家

そんな館内だが、実に多種多様な資料が並んでいる。それぞれの島の紹介から北方領土の歴史的背景、果ては戦後に起きた北方領土に関するありとあらゆる運動まで、言うなれば「北方領土に関するありとあらゆる事柄」について掲載されている。努力の賜物なのだろうが、ここまで来ると少し引いてしまうんですが取材班だけでしょうか。

実は資料館はもう1つある

今回我々は訪問しなかったが、実は納沙布岬にはもう1つ資料館が存在する。「根室市北方領土資料館」だ。

根室市北方領土資料館

こちらの博物館も北方領土問題に関する博物館ではあるものの、北方領土の状況に現状に関する問題を提起する「北方館」や「望郷の家」とは異なり、こちらの資料館は当時の島の生活史としての証や島の思い出を呼び起こすことといった、どちらかというと「当時の衣食住」を中心とした資料が展示されているそうだ。今回は時間等の都合で行けなかったが、納沙布岬に行く方はぜひ両方を訪れてみることをおすすめする。

観光には向かない?本州最東端「納沙布岬」に見る日本の存在価値とは。
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