近畿大阪市大阪府

空堀商店街 上流家庭とヤクザが共存する、大阪らしさを感じない超土着型商店街。【中央区】

どこまでいっても下町、下町、下町・・・ 「もはや下町しかないのか」と言いたくなるほど下町がそこらじゅうに広がるのが大阪市だ。たこ焼きやお好み焼きが焼ける音が漂い、パチンコ屋や大阪の激安スーパー玉出に群がる小汚いおっさんたちの群れ。ある意味「平等」な世界ではあるのだが、神戸や北摂、もしくは他の地方から観光や出張等で来た人間からしてみると、ここは本当に日本なのはと疑ってしまうような光景が広がっていること、間違いないだろう。

空堀商店街 谷町筋側入口

そんな特異な特徴を持つこの大阪という街だが、今回はその中でも比較的回りやすい商店街、「空堀商店街」をご紹介しよう。

あくまで「比較的」というだけです。予めご注意を。

大阪市内では珍しい「文教地区」のすぐ近く

空堀商店街の最寄は、地下鉄谷町線・長堀鶴見緑地線の「谷町六丁目」駅だ。

谷町六丁目駅

谷町六丁目駅から谷町筋を南に歩くこと数分、空堀商店街が見えてくる。入口にはこれでもかというほどデカデカとした「空堀商店街」の文字、そしてその上には「はいから通り」という謎の愛称が見えている。

空堀商店街 谷町筋側入口

「空堀」という名前の由来は、この土地が豊臣秀吉の頃の大阪城 南惣構堀、通称「空堀」の遺構の上にあるからだと言われており、そんな経緯もあってか、映画「プリンセス・トヨトミ」のロケ地にも使われたそうだ。現在でもその遺構は残るそうなのだが、残念ながら、当方歴史には非常に疎く、見つけることができなかった。良ければ探してみて下さい。なお、現在「空堀」という地名はこの一帯には残っておらず、空堀商店街のある中央区に隣接する天王寺区に「空堀町」という地名もあるにはあるものの、この空堀商店街からはいくぶん離れたところにあるので要注意。

ちなみに、「はいから通り」という愛称は「はいから」と「からほり」を掛け合わせると「はいからほり」となり、語感が良いという理由かららしいのだが、やはり大阪らしいネーミングセンスだ。神戸だったら「〇〇ロード」なんて名付けられても全くおかしくないのに。同じ関西といえど、その内情は街によって大きく異なっているから関西はおもしろい。

空堀商店街

谷町筋を挟んだ両側にアーケード商店街は見えており、どちらも空堀商店街ではあるものの(実際には、松屋町筋~谷町筋~上町筋の東西約700mが空堀商店街である)、実際には谷町筋から東側のエリアはおまけ的な存在となっており、谷町筋から西側の約500~600mが商店街の中心部分となっている。たとえ東西が分からなくとも、アーケード商店街の長さが明らかにちがうため、それだけでどちらが中心なのか、十分に理解することができると思う。

空堀商店街東側アーケード街

さて、ここまで空堀商店街の歴史と特徴について軽く振り返ってきたが、いよいよ中へ入っていくとしよう。これまでの写真を見ていけばわかる通り、空堀商店街そのものはごくごく普通の大阪らしい商店街といったところだろう。別に違和感を感じるということは特にないと思う。

空堀商店街

しかし、この商店街を歩き進めていくうちに、ある不思議なことに気付くだろう。それは、

パチンコ屋がない

ということだ。当ブログの以前の記事をご覧になった方はもうご存じかと思うが、商店街の建設・繁栄という観点において、パチンコ屋は通常避けて通れない存在だ。私がこれまで訪問した千林商店街や駒川商店街なんかには当たり前のようにパチンコ屋が鎮座していたし、神戸・新開地商店街に至ってはわずか300mほどの距離に7軒ものパチンコ屋が睨み合うように競って営業をしていた(もっとも、これは少々意味合いが変わってくる部分があるのも否めないが)。

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しかし、この空堀商店街ではそんなことはない。大昔にはパチンコ屋もあったそうなのだが、早々と潰れてしまったそうだ。

それに加え、この現象は何も空堀商店街に限ったことではない。実際に地図で検索してみるとわかるが、空堀商店街の最寄である谷町六丁目駅周辺には、パチンコ屋が存在しないのだ。谷町六丁目から一番近いパチンコ屋は、なんととなりの駅「谷町九丁目」駅まで行かなければならない。何ということだろう。とても大阪とは思えない。

では、なぜこのようなことが起きたのだろうか。それは、空堀商店街の立地にある。

空堀商店街は、大阪でも屈指の文教地区として知られる天王寺区のすぐ隣に位置する商店街だ。中でも商店街に隣接する清水谷地区や高津地区はその中でも屈指の文教地区兼高級住宅街として有名で、地価も東京の住宅街(とはいえ、江戸川区や葛飾区と同程度ではあるが)とそう変わらないというから驚きだ。

そんな場所に住む人間が、果たしてパチンコなんかにハマるだろうか。否。そんなことはまずありえないと断言できる。そんなこともあってか、この商店街にはパチンコ屋が成立しなくなってしまったのだ。パチンコを成立させなくするほどのこのお土地柄。天王寺区、恐るべし。

スーパー玉出が負けた街、空堀。

商店街にも関わらずパチンコ屋が存在しないという、大阪市内とは思えない特殊な事情を持つこの空堀商店街だが、この商店街にはもう1つ、「大阪らしくないこと」が起きてしまった。なんと、

スーパー玉出が閉店してしまった

のである。

スーパー玉出空堀店

スーパー玉出空堀店

スーパー玉出といえば、みなさんご存じの通り「激安」を前面に押し出し、品質管理のひの字も捨ててとにかく安い商品を販売することで知られる大阪のスーパーだ。価格にうるさい大阪人にとって、安さは最強の味方だったはず。それなのにそのスーパー玉出が閉店してしまうなんて、ここの住民はどうやら価格よりも品質を重視しているらしい。大阪市内の他の場所ではまず見ることのできない、とんでもない光景を見てしまった・・・。

スーパーサンコー空堀

ちなみにそのスーパー玉出からわずか数十mだけ歩いたところにあるスーパー「サンコー」さんは本日も大盛況。スーパーの需要がないわけではないということを示す決定的な証拠だ。とはいえ、このスーパーも段ボール山積みの格安スーパーでしたが。結局大阪は大阪なのだ。

なお今回特集したスーパー玉出に関しては、以下のnoteが参考になるので良ければご覧になってほしい。

【空堀のまち】空堀商店街のスーパー玉出閉店の記録|piyoko|note
2019年度末の出来事として記録に残しておく。 大阪の激安スーパー玉出www.supertamade.co.jp 春の終わりにスーパー玉出 空堀店が2020年3月31日に閉店した。 2019年度末のできごと。 空堀商店...

ヤクザの事務所が共存する街、空堀。

そんな「大阪らしくない」雰囲気を残す空堀商店街だが、そのアーケード商店街の中にトンデモないスポットが商店街の中に含まれていることはあまり知られていない。そのスポットとは、これだ。

空堀 織田組元事務所

(Googleストリートビューより抜粋)

この「織田」とだけ書かれたこの家、一見普通の家に見えるのだが、実はここは指定暴力団山口組系、織田組の元事務所なのだ。

2020年、大阪市によって事務所の使用が禁じられたため現在では事務所機能を東大阪市へと移転したのだが、現在でも事務所そのものは残されており、出入りもあるとかないとか。山口組の分裂抗争が起きた2016年7月には山口組と対立する神戸山口組系の組織に車を突っ込まれるという意味不明な経験をしているこちらの建物、現在でも建物が残っていることそのものにも驚きなのだが、それ以上にこれ以上ないほど商店街に溶け込んでいることに驚いてしまう(筆者も最初、全く気付かなかった)。というより、もはやここまで来ると恐怖を感じてしまうほどだ。

なお、一応事務所機能は移転したとはいえ、現在でも何が起こるかわからない。写真・動画の撮影は極力控えることをおススメする。筆者もGoogleマップの写真を使用しているが、その点に関しては勘弁してほしい。

若者が多少は増えたとはいえ・・・

高級住宅街に住む上流家庭とヤクザとが共存する街、空堀。そんな空堀商店街だが、最近様々なWebサイトにおいて、「近年、雑貨店やカフェなどが次々にオープンしており、若者の来訪が増えている」などといった宣伝文句が書かれるようになってきた。

これは、結論から言うと間違いではない。実際に商店街を見て回ると分かるが、明らかに若者をターゲットとした店舗が増えている、これは紛れもない事実だ。そしてその中には、「昭和史を扱う書店」や「たまごサンド専門店」といった、実に個性的なお店が並んでいる。

とはいえ、これはあくまで一部分に過ぎない。実際には、昭和の風景を残すお店も多く並んでいるし、むしろそのようなお店のほうが圧倒的に多い。

第二次世界大戦の影響を奇跡的に受けなかったという影響もあるのだろう、普通の商店街ではあまり見られない、珍しい古さを持ったお店も多くあるのがここ空堀商店街の大きな特徴だ。

そして肝心の若者の比率だが、正直な感想として、心なしか多い気がしたが、ほとんど変わらなかった

現在、全国的に若者が商店街に行かず、商店街が老人であふれるようになってしまっていることが大きな問題となっている。その対策として「お店のリノベーションを行い、オシャレなお店を入居させることで商店街に若者を呼び込む」施策を行っている商店街は全国に数多くあるが、あまり成功していないのが実情だ。そして、この実状はここ空堀商店街でも同じだ。面白い店は多くあれど、多くの若者を引き付けるほどの状態には至っていないようだ。

空堀商店街

そもそも論の問題として、個人が勝手にお店を改装し、新しいお店をつくったところで、それが若者を「この店に行く」という行動まで導くには多くの手間がかかる、というごくごく当たり前の事実に商店街側は気付かないのだろうか。たとえその存在を知っていたところで、「インスタで見て満足しました」「近くの似たようなお店で満足しました」ではダメなのだ。もし本当に空堀商店街を発展させたいと願うのであれば、「空堀商店街にしかないもの」「唯一無二の存在」を目指すしかないのではないか。何が正解かは筆者にもわからないが、少なくとも筆者自身はそう考えている。

空堀商店街

ま、その前にこのコテコテに固まった大阪の状況から完全に抜け出すことが先決だと思いますが。


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