近畿奈良県奈良市

ミ・ナーラ 長屋王のたたり!?面積の広すぎる元百貨店のもどかしい今。

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大阪から近鉄電車に乗ること、約40分。平城京を持つ街として栄え、古代日本の歴史を今でも伝えている街・奈良。同じ古都である京都に比べてインバウンドの恩恵が薄いだとか、某ウイルスの影響で観光客が来ないだとかいろいろ言われるこの街だが、数多くの世界遺産を抱えるこの街は今も多くの人々を魅了し続けている。

(画像はじゃらんより抜粋)

そんな奈良の中心部から近鉄電車で1駅、新大宮という駅の近くに、いろいろといわくつきの超大型商業施設があることをご存じだろうか。今回は、このいわくつきの大型商業施設「ミ・ナーラ」に関する話題をお届けしょうと思う。

ミナーラ 外観

豪華すぎる元・そごうの痛々しい跡

ミ・ナーラ入口

ミ・ナーラに一度行くと、おそらくこの入口に驚くだろう。

「なんでこんなに豪華なの・・・?」

と。通常のショッピングセンターで、こんな金ピカで豪華な入口はまず見ることができない。なぜこんなことが起きてしまっているのだろうか。

その理由として、元々ここは観光型商業施設ではなかったから、という点が挙げられる。もともとここは「奈良そごう」という百貨店として1989年にオープンした建物で、850億円という通常ではありえないほどの金額を使って作られている。これは、日本で最も高い建物、あべのハルカスの建設費よりも高いというから驚きだ(あべのハルカスの建設費は760億円)。当時はバブルということもあり、お金を使う余裕もあったのだろう。それにしてもスゴい金額である。

しかし、そのバブルが崩壊、百貨店市場が縮小に転じてくると奈良そごうは一気に不振へと陥る。売上そのものは大きく減ることはなかったようだが、850億円という初期投資がたたり、そごう自体が破綻したこともあいまって2000年に閉店へと追い込まれた。その後、イトーヨーカドーが入居したものの、2017年にはこちらも閉店、新たに投資ファンド「やまき」が建物をまるごと買い取る形で出店し、今に至っている(現在は別会社が運営)。

ちなみに、この建物は長屋王邸宅の跡地に建てられたことから、「長屋王の呪い」と言われているそうだ。(ただ、Wikipediaによると実際はそうでもないらしい)

話を戻そう。ミ・ナーラの入口がやけに豪華な理由には、そんな深い事情があったのだ。ミ・ナーラさんがわざわざお金をかけているのではなく、使いまわしてコスト削減しているだけなのでそこはお忘れなく!!

ミ・ナーラ入口

そして入ってみようと取っ手を持ったところ、何とそこにはシカの姿が。奈良はシカが有名だが、なんとそれをこんなところに持ってきてしまったらしい。いかにも過大投資の店舗といったところだ。

ミ・ナーラ エスカレーター

入口から既に衝撃的な光景の広がるミ・ナーラだが、衝撃的なのは何も入口だけに留まらない。エスカレーター一つだけを取ってもこの状況だ。恐ろしいことに、6台ものエスカレーターが同時に動いていた。これは「トリプルエスカレーター」と呼ばれているらしく、日本でも横浜そごうや千葉そごうなど、ごくごく一部の場所にしか導入されていないようだ。それにしてもそごうにばかり設置されているあたり、何か事情を感じてしまうのは筆者だけだろうか・・。

奈良市美術館(奈良そごう美術館)

驚いたことに、店の中に美術館まで存在してしまっている。しかもガッツリ大理石が使われてしまっている。これも今に始まったものではなく、そごう時代、「奈良そごう美術館」として存在しているものだ。現在でも横浜のそごうには「横浜そごう美術館」なるものが存在するが、これはその名残だ。確かにきれいだし美術館としての雰囲気が残っているが、百貨店の中に美術館って、どうなってるんだ・・・

奈良そごう 浮夢殿

今でも豪華なこのミ・ナーラだが、奈良そごうが開店した当時はもっと豪華だったというから驚きだ。上の写真は、奈良そごうオープン時に設置されていたという、「浮夢殿」だ。法隆寺夢殿をモチーフに作られた建物で、建物が金箔で覆われていたという。本物の夢殿より豪華になっているって・・・本当にこの「そごう」という店はめちゃくちゃだな。だからこそ面白いのかもしれんけど。

微妙すぎる立地

ミナーラ 外観

さて、これまで散々ああだこうだ言ってきたミ・ナーラについてだが、元百貨店なんだから立地の良いところにあるのだろう、と考える人もいるかと思う。これに関しては、微妙だと言わざるを得ない。

その証拠として、ミ・ナーラ周辺の地図をご覧いただこう。ミ・ナーラは以下の位置にある。

ミ・ナーラ 周辺地図

これを見ればわかる通り、ミ・ナーラへのアクセスは、車で行く分には非常にアクセスが良い。木津や城陽、大和郡山といった近隣の都市にアクセスすることができ、西名阪自動車道にも直結する国道24号線と奈良市街地へ直結する国道369号線の交わる場所、その角に位置しており、車で行くという点では最強と言っても過言ではないだろう。

しかし、鉄道で行くとなると話は大きく異なる。ミ・ナーラの最寄は「新大宮」という駅だが、この駅からミ・ナーラまでの距離はなんと1,100m。徒歩で14分かかるそうだ(Google Map調べ)。そして、JRの駅からは歩いて行くことができない。ミ・ナーラの最寄駅、新大宮駅のとなり、大和西大寺駅の目の前に「ならファミリー」(ショッピングセンター、近鉄百貨店が入居)しているのとは大きな違いだ。

ミ・ナーラ 連絡バス

(画像はTwitterより抜粋)

とはいえ、駅からの集客をこまねいているわけではない。ミ・ナーラ側としても、近鉄新大宮駅・近鉄奈良駅・JR奈良駅の3方向から連絡バスを運行しており、鉄道利用者からの集客に努めている。

しかし、これが使いづらい。近鉄新大宮駅からは20分に1本という高頻度でバスが出ているものの、JR奈良駅からは1時間に1本、近鉄奈良駅発に至ってはなんと2時間に1本と言う低頻度運転だ。しかも、なんと小型バスでの運転である。「満席時には次の便をご利用下さい」と書いているが、いくらなんでも2時間も待てないって。この点に関しては改善を求めたい。

嘆きたくなる現状と未来

ミ・ナーラ フードコート

そんなミ・ナーラについてだが、決して店がないわけではないものの、ハコが大きいのもあってか、全体的にあまり埋まっていない印象を受けてしまう。これは1階にあるフードコートだが、こちらに関してかなり埋まっている。

ミ・ナーラ 上層階

しかし、下層階は埋まっているものの、上層階は別だ。上層階ともなると、そこらじゅうに巨大な空きテナントが目立つようになっており、通路が広いのもあいまってスカスカな印象を受けてしまった。

ミ・ナーラ ボルダリング

エスカレーターで4階まで上がったところには、なんとボルダリング施設まで備え付けてあった。しかし、こちらもボルダリング施設としては使われていないようで、もっぱらステージ部分のみが使われ、ライブ会場として使われているのが現状らしい。ちなみに、このボルダリング施設の出っ張り部分だが、どうやらここには奈良そごう時代の「世界の人形時計」なるからくり時計が残っているとか残っていないとか。真偽が気になるが、真相は闇の中だ。

この施設、全体的にテナントの入れ替わりが激しいようで、2018年オープンと比較的新しい店舗であるにも関わらず、核店舗であるはずのイオン系スーパー「KOHYO」が閉店、その代わりに関東地盤のスーパー「ロピア」が初進出したり、最上階にあるホテルが長期休業に入ったりと、話題には事欠かない。それにしても、そごうやイトーヨーカドーといったセブン系のお店が立て続けに閉店し、その代わりに出店したのがイオン系というのも皮肉なものが。もっとも、そのイオン系スーパーすら撤退するというのはもっと皮肉だが。

Googleで「ミナーラ」と打つと「ミナーラ 閉店」「ミナーラ 潰れる」という検索候補が出てきてしまっているが、その中でどこまで踏ん張れるのか。ミ・ナーラの未来が楽しみでもあり、不安でもある。

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