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大阪ベイタワー(オーク200) 大阪副都心「ニシ」の成り損ねが復活し始めてる件【大阪・港区】

大阪の繁華街といえば、もちろん「キタ」と「ミナミ」が有名だ。キタというのは梅田、ミナミというのは難波や天王寺のことを指す言葉で、大阪、いや西日本を代表する巨大繁華街として今に至るまでその名を馳せている。

JR弁天町駅

ところで、「キタ」「ミナミ」以外に「ニシ」という存在があるのをご存じだろうか。ニシというのはもちろん西側のことを指す言葉で、大阪環状線の西側、西九条や弁天町のあるエリアのことを指す。かつては南港と共に大阪市が非常に力を入れていたエリアで、バブル期には泣く子も黙るような驚きの再開発計画が立てられていた時期もあったそうだが、現状を見る限りそのほとんどが計画倒れに終わっている。

大阪ベイタワー/オーク200

そんなニシのエリアにおいて、数少ない再開発計画の実施例があったのがこちら、弁天町の駅前に位置する「大阪ベイタワー(旧・オーク200)」なる施設だ。大阪市にとってこの施設の存在は今後を占うほどに大きく、開業当時はニシの発展の起爆剤として大いに期待されていたのだという。

大阪ベイタワー/オーク200

しかしそんな期待もむなしく、事業は見事に失敗。結果、637億円もの負債を銀行に支払う羽目になってしまったのだという。今回は、そんなJR・大阪メトロ弁天町駅前にある「大阪ベイタワー(オーク200)」について、その歴史を現状を探ることにする。

大阪副都心構想の成り損ね「大阪ベイタワー(オーク200)」

大阪ベイタワー/オーク200

大阪ベイタワー(オーク200)は、大阪市港区にある再開発施設だ。再開発計画「弁天町駅前開発土地信託事業」によって、1993年にオープンした。当初は「ORC200(オーク200)」という名称がついていたが、これは「大阪リゾートシティ(Osaka Resort City)」の略称、ビルの高さ200mにちなんでいるのだという。

大阪ベイタワー/オーク200

そんな大阪ベイタワーで最も高い建物にあたる、高さ200mの建物にはオフィス及びホテル「アートホテル大阪ベイタワー」が入居。非常にご立派なことで。

大阪ベイタワー/オーク200

冒頭でも書いた通り、この施設は大阪市における「ニシ」の副都心開発の目玉として作られたものだ。元々は1967(昭和42)年に「大阪市総合計画の基本構想」として策定されたものが、1986(昭和61)年に信託銀行によって具現化される形で開発されることになったものだという。この結果として、大和銀行(現りそな銀行)・三井信託銀行・住友信託銀行(現三井住友信託銀行)・三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)の負担で開発が行われることとなった。その事業費は何と約646億円、しかもその大半にあたる約488億円を借入金で賄うとしたというから驚きだ。

大阪市側の当初の見積もりでは、信託銀行側の借入金は賃料により完済、さらに大阪市に対し累計272億6648万9000円の信託配当を給付する予定だった(この計画自体が「土地信託事業」によるもので、大阪市が信託銀行側に土地を貸す存在だったため)という。

大阪ベイタワー/オーク200

しかしながら、大阪市の当初の目論みはあっけなく失敗、信託銀行側は莫大な負債を抱える一方、大阪市側は一度も配当をもらえないという、最悪の結末を招いてしまった。この結果に対し、信託銀行側が「大阪市の見積もりが甘かったからだ」と大阪市に責任を求め、逆に大阪市側は「信託銀行は配当金を払え!」などと主張し泥沼化。その結果、信託銀行側の主張が認められ、大阪市が計637億円を支払う結果となってしまった。

オスカードリーム

ちなみに裁判には続きがあり、大阪市が同時期に行った別事業「オスカードリーム」に関して、大阪市側が同じく信託銀行側に283億円を支払うことになっていることをここで付け加えておく。

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大阪ベイタワーの救世主「空庭温泉」、そしてそれに続くテナント達

そんな残念な状況となっている大阪ベイタワー(オーク200)だが、その現状はどうなっているのか。ということでここからは、大阪ベイタワー(オーク200)の現況について見ていくとしよう。

大阪ベイタワー/オーク200

大阪ベイタワー(オーク200)は、JR大阪環状線・地下鉄中央線弁天町駅から直結しており、場所としては申し分ない・・・と思いきや、どちらの駅とも高速の高架を隔てた位置に建物が設置されており、長い歩道橋を歩いて行かないとならない。トラック多すぎて結構な排気ガスが出てるんですが、よくこんなところで暮らしていけるな。

大阪ベイタワー/オーク200

大阪ベイタワー(オーク200)の中に到着。数年前はここも全くといって良いほどお店が営業しておらず、100円ショップの跡地がそのまま放置されているなど、見るも恐ろしい状況を呈していたというが、今はかなり改善した模様。人通りもそれなりにあり、小綺麗な姿を見せている。

大阪ベイタワー/オーク200

荒廃していた大阪ベイタワー(オーク200)。その状況を変えたのは、他でもない「空庭温泉」の存在である。関西最大級の温泉テーマパークとして2019年に開業したこちらの施設は、安土桃山時代をモチーフにしたというその中身や、浴衣を着た上で様々なアクティビティを行えるというそのエンターテイメント性から瞬く間に人気施設に。そしてこの空庭温泉を訪れる人目当てのお客さんが増え、新たにお店が開業、さらにお店が増え・・・という好循環に入っている模様だ。

大阪ベイタワー/オーク200

最近では特別な目的のために使うお店以外にも、日常使いに関するお店が多く進出するようになってきている。昔から営業を続けている郵便局や宝くじ売り場といった「いかにも公共施設」っぽいお店の他に、

大阪ベイタワー/オーク200

大阪ベイタワー/オーク200

100円ショップやドラッグストア、そしてまさかの関東資本のスーパー「ロピア」まで進出してしまっている。最近ではホームセンター「ニトリ デコホーム」も出店しており、その急激な展開っぷりには取材班も驚かされる。なんだかどこかのイ〇ンと同じような店舗構成になってしまっているんですが、周辺の状況を考えるとある意味賢い戦略なのかもしれない。まあとにかく賑わえばどうでもいいか。大阪市の元を離れて民間資本にもなったことだしね。

しかしとはいえ・・・

大阪ベイタワー/オーク200

絶望的な状態を脱し、徐々に良い方向へと向き始めている大阪ベイタワー。しかしその現状はというと、必ずしも良いとはいえないようだ。実際にフロアガイドを見れば分かるが、全体の半分ほどはいまだに空きテナント。まだまだその道のりは長そうだ。

大阪ベイタワー/オーク200

その状況が最も如実に現れているのが、ホテルのすぐ隣・ベイタワーイーストにある「レストラン街」だろう。2・3階の2フロアにわたる広大なレストラン街として営業を行っているこちらのレストラン街だが、2階を中心にスッカスカな光景が広がってしまっている。平野区にも似たような光景があったが、どうしてこうなってしまうんでしょうか・・・。

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大阪ベイタワー/オーク200

レストラン街の中へと入ってきた。対称的に形どられたエスカレーター、そして大理石の床に明らかに過剰な照明。どうなっているんでしょうねえ。

大阪ベイタワー/オーク200

そして非常に美しい中身なのにも関わらず、「3F レストラン街」という明らかに安っぽい看板がその雰囲気をぶち壊してしまっている。どうしてこうもアンバランスなのでしょうか。

大阪ベイタワー/オーク200

大阪ベイタワー/オーク200

レストラン街の中にも来たが、なぜかがらーんとしている。高級感があるのにも関わらず、だ。しかしこんな綺麗なレストラン街に入っているテナントが「鶴橋風月」に「杵屋」じゃあやってられんわな。逆にそういう状況だからこそ生き残れたのかもしれない。

大阪ベイタワー/オーク200

そしてそのすぐ近くにあるアーチ状の天井が美しい2階の広場も同じ状況。結局人は空庭温泉の中から出ないし、スーパーや100円ショップのある1階から上がらないようで。今後はその回遊性が課題となりそうだ。

大阪ベイタワー/オーク200

あ、ちなみに大阪ベイタワー内のホテル「アートホテル大阪ベイタワー」にも寄ってみましたが、まあ素晴らしかったですよ。良ければ泊まってみてください。

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