「神戸の台所」という愛称で、多くの住民に親しまれている街、湊川。この湊川なるエリア、地下鉄湊川公園駅・神戸電鉄湊川駅から北へ伸びる1kmほどの間に500もの店舗が軒を連ねているそうで、その規模はそのあたりのイオンなんかとは比べ物にならない(参考:神戸ハーバーランドumieの店舗数は220ほど)。
そんな湊川地区には「湊川商店街」に「東山商店街」等、様々な商店街が整備され、それぞれがそれぞれの特徴を出し合う形で時に協力し合い、時に競い合っている。
さて、今回やってきたのは湊川地区の中でもその中央に位置する施設、「ハートフルみなとがわ」である。もともと市場だった場所を再開発して作ったこのハートフルみなとがわだが、そこにはある深い事情があるようだ。今回は、そんな湊川地区のど真ん中に位置するこの「ハートフルみなとがわ」、そしてそのすぐ南側に位置する商店街「神戸新鮮市場(上湊川本通)」について、その様子を探っていくとしよう。
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震災で再開発された「ハートフルみなとがわ」
ハートフルみなとがわは、兵庫県神戸市兵庫区にある再開発施設だ。平成12年(2000)年生まれの近代的な建物の中には、生鮮食品や加工食品、日用品、飲食店、さらにはスーパーマーケットに至るまで、生活に必要なお店が一通りそろっており、生活には事欠かない。また、上層階にはUR賃貸住宅「ハートフル湊川」が入っており、こちらもUR物件にしては比較的立地が良く、築年数も浅いことから人気のある物件となっているようだ。北区には山の中にあるURの団地もあるというのに、えらい違いである。
ハートフルみなとがわの歴史は1918(大正7)年11月、「湊川公設市場」が設立された時点までさかのぼる。1918年といえば米騒動が起きた年だというから、その歴史の長さが分かるだろう。その後、この湊川公設市場は第二次世界大戦により一度焼失するが、1947(昭和22)年11月には「湊川中央小売市場」として早くも復活。その後、高度経済成長とともに湊川地区そのものも発展し、当時はかなりの栄華を誇ったのだという。
しかし、1995年に阪神・淡路大震災が発生。湊川公設小売市場は、111戸中全壊21戸・半壊72戸という壊滅的な被害を受けたこの湊川公設小売市場には再開発が行われ、2000年4月、現在の「ハートフルみなとがわ」が完成、現在に至るのだそうだ。
ただし、神戸市のWebサイト上では「1990年ごろから再開発構想があった」ことが明記されている。結果的に震災再開発事業となったものの、もともとどうにかする予定だったのでしょうね(神戸市のサイトからページが削除されたため、現在は確認できず・・・)。
前置きが長くなったが、ハートフルみなとがわの中身へと入っていこう。ハートフルみなとがわの内部は今も市場らしい光景が残っているものの、やはりここは現代の建物。いかにも市場らしい、少し汚れた雰囲気は全く残っておらず、非常にキレイな姿が保たれている。
建物の中は非常に通路が広く、まるでどこかのショッピングセンターかと勘違いするほどお買い物がしやすい。また、広いレストスペースや広場なんかも設けられており、高齢化の進む商店街のお買い物客も買いやすい設計が取られている。以前は無料の飲水機も置いてあったものの、さすがに撤去されてしまったようだ。しかしそれでも市場らしくないこの雰囲気がいかにもそそる。
これに関しては設計当初から意図されていたようで、当時の地図を見てもその痕跡がうかがえる。ハートフルみなとがわの店舗部分は2フロアだけだが、それでもここまで変わるんですね。
しかし、建物こそ変われどここは市場。中には阪神の選手名がズラズラと並ぶ強烈な個性を放つお店もありました。なんでもここの店主さんが熱烈な阪神ファンだそうで、阪神が勝った翌日はお店指定の1品が20%引きになるとのこと。阪神が優勝した翌日は「スゴいことがおきる」そうですので期待しておきましょう。
ミナトガワニイコウ「神戸新鮮市場(上湊川本通)」
ハートフルみなとがわを抜け、坂を上っていこう。坂の多い神戸市ならではの光景だ。ちなみにここからはハートフルみなとがわの他、湊川パークタウンの2階、そして湊川商店街とも接続しており、非常に重要な役割を担っている。
坂を上ると、その先にまたアーケード商店街が続いている。この商店街は一般に「神戸新鮮市場」と呼ばれているが、実際のところ、「神戸新鮮市場」というのは湊川エリアの商店街全体を指す言葉にあたるそうで、このアーケード商店街単体では「上湊川本通」という名称がついているのだそうだ。いかんせんほとんど名前が書いていないため分かりづらい。
上湊川本通はハートフルみなとがわと異なり、今もレトロな雰囲気を残すお店が多く残っている。令和の世になったが、神戸にもこんな場所が残っているんですね。
この上湊川本通なる場所、神戸市発祥の「野球カステラ」が今も残っているという情報を聞き、今回取材班はやってきたのだが・・・なんとこの野球カステラを打っているお店は2020年12月末で閉店してしまったとのこと。時代とウイルスの流れには勝てなかった、ってか(´・ω・`)
上湊川商店街の終点へとやってきた。「上湊川本通」の文字より「神戸新鮮市場」の文字のほうがよっぽど大きいんですが、こんなんで大丈夫なんでしょうか。他の商店街におんぶにだっこしないと生きていけない寂しげな姿を見受けられました・・・。
1960年創業「マルカジュース」でかき氷を食らう
さて、野球カステラを買おうと思ったのだが、残念ながら閉店していたので代わりに別のものをいただきましょうかね。今回はこちらの「マルカジュース」さんでかき氷を頂くとしましょう。1960年創業、2021年訪問現在で61年目という歴史のあるジュース屋さんだ。「ポテト」「ジュース」と書いており、その名の通りジュースが名物のお店ではあるのだが、今回はかき氷を頂くとする。
ということで、宇治抹茶かき氷をいただきまーす!!お祭りで買うと300円くらいは取られそうなこの商品だが、ここ・マルカジュースさんでは170円でいただける。以前訪問した「おかずクラブ」さんよりも安い。そういえば以前はカシスオレンジ味を頂いたんですが、どうもこの取材班は少し変わった味が好きなようで(笑)良い青春の思い出ですね。
<おかずクラブさんを訪問した際の記事>