近畿京都府京都市

赤字続きで訴訟沙汰 京都市中京区「ゼスト御池」の現況を観察する。

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地下に広がる商業施設街、地下街。日本では東京や大阪を筆頭に大都市を中心に多くの地下街が形成されており、さながら「地下街=大都市」という方程式が成立している格好が見受けられる。そしてもちろん、大都市にあるというその理由もあってか、どこも多くのお客さんで賑わっている印象だ。中にはなんだか微妙な状況になっているのもありますけどね。

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「大都市=地下街」という方程式は京阪神地区にも同じように見られるようで、京阪神地区では京都・大阪・神戸といった政令指定都市に地下街が形成されている。さすがに京阪神を代表する3都市、関西の地盤沈下が避けられている今もその存在感には圧倒的なものがあるようだ。

ゼスト御池

しかし、そんな京阪神を代表する都市の一つ、京都市にはどういうわけかお客さんが余りに入らず、結果的に住民による集団訴訟にまで発展してしまった地下街が存在しており、てこ入れ策によって来客・売上ともに大きく向上した今もその遺恨を残しているらしい。今回は、そんな色々と事情を抱えてしまっている地下街「ゼスト御池」について、その黒い歴史と現状について見ていくとしよう。

京都市の赤字補填で訴訟沙汰「ゼスト御池」

ゼスト御池

ゼスト御池は、京都市中京区に位置する商業施設だ。京都市営地下鉄東西線が開業した1997年、京都市営地下鉄東西線「京都市役所前」駅に隣接する形で開業した。商業施設は地下街として営業され、駅からも直結。駅からのアクセスは非常に良好だ。

ゼスト御池

一見立地面で恵まれているように見えるこのゼスト御池。しかし、その商業的立地条件はあまり良いとは言えないようで、

・京都市の中心繁華街(京都駅周辺、烏丸・河原町周辺)からやや離れていること

・駐車場が併設されているものの、駐車場の歩行者出入口が地下街と逆方向にあること

・地下鉄東西線そのものの利用者が伸び悩んでいること

といった様々な要因のせいか、売上・利益ともに伸び悩んでいるのが現状だ。

ゼスト御池

そんな状況下にあるゼスト御池はカネ絡みで実に多くの問題を抱えており、

①ゼスト御池の運営会社「京都御池地下街株式会社」の赤字を京都市が補填していたことに対し、住民側が財務会計法規上違法であるとして訴訟沙汰になる(結果は原告敗訴)。

②民間金融機関から借りた借入金を政府系金融機関に乗り換えするにあたり、三菱東京UFJ銀行などから借り換え条件として市に99億円の損失補償を求められる

③2006年時点での店舗全体の売上が当初計画の60億円に対し実績値は18億円

などと、挙げていくと実にキリがない。ちょっと調べただけでこれだから、実際はもっともっと問題があると思われる。実に闇の深い場所だ。

ゼスト御池

そんなゼスト御池だが、なんでも近年は食をテーマにした店舗や生活必需品を扱う店舗を入居させるなどの「テコ入れ策」により来場者数・テナント売上高ともに大きく伸ばし続けているとのこと。ここからは、このゼスト御池の現状について、写真とともに見ていくとしよう。

テナント入れ替えでテコ入れ成功!→でも実は・・・

ゼスト御池

ゼスト御池のいろいろとマズい歴史について見たところで、ここからはゼスト御池の現状について見ていこう。地下鉄京都市役所前駅から地下街に入っていく。休日の夜という時間帯だが、お客さんが全くいないということはなく、全体的にポツポツと人が入っている。生活に必要なお店を入れて集客に努めるという考え方は間違ってはいないようだ。

ゼスト御池

ゼスト御池のフロアガイドはこんな感じ。飲食店以外の店舗が全て赤色で設置されており少々分かりづらいが、全体的に日常使いのお店が多い印象。詳しく見たい方はコチラも参照してみてください。

ゼスト御池

中を見ていこう。中は非常に通路が広く、非常に回りやすい。全体的にこまごました印象のある京都市内だが、ここに関してはそんな混雑とは無縁。観光客が来ないこともあってか、皆スイスイ歩いて行っているのも好印象だ。

ゼスト御池

ゼスト御池

そんなテコ入れによって何とか賑わうようになったこのゼスト御池。しかし実際は「チェーン店による集客」が本質となっているようで、何だかその辺のイ〇ンと変わらない景色が広がってしまっている。

ゼスト御池

ゼスト御池

「カルディ」に「サンドラッグ」に「セリア」・・・。何だか実に味がない。近年では売上・来客数ともにその数をぐんぐん伸ばしているこのゼスト御池だが、そんな今でも、2020年における売上はたったの30億円。2006年の予想(60億円)の半分でしかないというから笑うしかない。

ゼスト御池

ゼスト御池

ゼスト御池

ゼスト御池

50店舗ほどのお店という、規模そのものはそれほど大きいとはいえないこのゼスト御池。しかしその地下街の中にはなぜか広場が4つも設置されているという・・・。こんなことしてるから財政的に厳しくなるんでしょ、全くもう!!!!

いろんな意味で話題になってしまったあの通路もあります

ゼスト御池

色々と事情を抱えているこのゼスト御池。この地下街には、隣接する形で市役所に接続する通路が設置されている。「京都市役所前」という駅名から、いかにも昔からある通路に思われるこの通路だが、実はこの通路が完成したのはなんと2021年のこと。

ゼスト御池

画像は京都新聞より抜粋

2021年9月に完成したこの通路だが、実はこの通路、京都新聞Yahooニュースにその実状が掲載され、様々な面から波紋を呼んでいる。「財政難なのにこんな通路を作るなんて税金の無駄だ」「全然人が通ってないのにこんなもの作るな」「職員用の通路にしか見えない」という訳だ。地下街も地下街だが、その根は予想以上に深い。

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