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ベルマージュ堺 「堺市駅前のイメージアップ」再開発、その中身を観察する

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堺市の中心といえばJRの堺市駅・・・ではなく、南海の堺東駅。JRの堺市駅周辺は市街地というよりも周辺に位置する大阪刑務所や戦前に所在した陸軍兵営地(現・金岡公園)の印象が強く、お世辞にも良いイメージのある場所とはいえない状態だった(というより、今もそうなのかもしれない)。

ベルマージュ堺

そんなJR堺市駅前のイメージを払拭しようと、堺市駅前を大々的に再開発する形で開業したのが、今回取り上げる「ベルマージュ堺」なる施設。高層マンションが2棟並ぶその荘厳な姿に目を奪われるこのベルマージュ堺だが、この現在の状況はバブルの崩壊とともに現れた「苦難の産物」なのだとか。今回は、そんなJR堺市駅前に位置する「ベルマージュ堺」について、その様子を見ていくこととする。

JR堺市駅前再開発「ベルマージュ堺」

当初の想定は「50階建ての超高層ビル」だった

ベルマージュ堺

ベルマージュ堺は、JR堺市駅直結の再開発ビル。堺市の再開発事業「堺市駅前地区 第一種市街地再開発事業」により1999(平成11)年に開業した。

堺市駅周辺(1980年ごろ)

1980年頃のJR堺市駅周辺(国土地理院地図より引用)。大阪刑務所の敷地がすぐ目前まで迫っていることが分かる。

再開発前の状況として、JR堺市駅は「堺」という市名こそついているものの、大阪刑務所や火葬場、墓地などが駅周辺に多く立地、結果南海の堺駅や堺東駅と比べて周辺の整備に大きな後れを取っていたという現状があったという。また、駅周辺の人口が1970年以降(国勢調査調べ)減少の一途をたどるという厳しい状況にあり、堺を代表する駅の1つとして、駅の活性化や都市基盤の整備という重要な課題を残していた。

ベルマージュ堺

1991(平成3)年ごろの当初計画図

この現状を打破することを目的として、再開発事業を行うことが選定された。しかし、当初から2棟のマンションをする計画が策定されていたわけではなく、初期の地域構想では「商業」「ホテル」「住居」という3つの建物が一体的に整備される予定で、特に住宅棟に関しては「50階建ての超高層ビルを建設する」という、なかなかに大がかりなものが計画されていた。計画策定が1991年と、バブル期にまたがっていたのも大きいが、いかにもらしい計画といえば計画ではある。

ベルマージュ堺

とはいえ、この計画はバブル崩壊やホテル誘致がうまくいかななかったこともあり、早々頓挫(2023年現在も、堺市駅前にはホテルがない)。代替案として、42階建て高層マンションが2棟建設されることになり、その計画がそのまま実行、現在に至っている。現在の姿は、かつて東洋のベネチアと呼ばれた堺の歴史的背景を継承し、西欧らしいイメージを建築デザインに反映させたものとなっているようだ。ここからは、ベルマージュ堺の内部の様子について見ていくこととする。

色々とクセの強い内部の様子です

ベルマージュ堺

ベルマージュ堺の歴史について触れたところで、その内部について見ていくこととする。施設は駅からペデストリアンデッキで直結。天王寺から快速で1駅というその利便性もあり、それなりに利用者があるようだ(とはいえ、高度経済成長期やバブル期と比べると乗車人員数は下がっているが)。

ベルマージュ堺

2023年訪問時のフロアガイドはこのような状況。核店舗として「イズミヤ」「コーナン」が入居。どちらも関西を本拠に置く企業であり、人気の高さがうかがえる。また、3階には堺市の図書館も入っている。

ベルマージュ堺

ベルマージュ堺

中の様子を見ていこう。緩やかにカーブした外観をしているこのベルマージュ堺だが、コーナンやイズミヤといった核テナントが大きなウェイトを占めていることもあり、共用部分のエリアは規模小さめ。三角形に近いカクカクした形状をしているのが特徴となっている。

ベルマージュ堺

ベルマージュ堺

とはいえ、吹き抜けを多用したそのレイアウトは実にお見事。地上階に至るまで吹き抜けの光がきれいに入るようになっており、開放的な雰囲気を醸し出している。このあたりはいかにもバブルらしいといえばバブルらしい。

ベルマージュ堺

また、特徴的なカーブをした外の様子も効率的に生かされており、お店と駐輪場とが一体的に整備され、違法駐輪も少なく、非常に落ち着いた景色を醸し出している。当初計画案では「駐輪場は地下に配置する」こととなっていたが、これでは相当数の自転車がごちゃごちゃと放置されることとなっていたのは想像に難くないだろう。

ベルマージュ堺

ベルマージュ堺

住居側エリアの様子も見ていこう。「北欧をイメージした」という言葉通り、こちらのエリアにはヨーロッパの雰囲気を感じさせる落ち着いた景色が広がっている。ちなみに写真の階段には「スペイン階段」なる愛称がついているのだとか。神戸にも同じ名前の階段がありましたね、そういえば。

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ベルマージュ堺

ベルマージュ堺

ベルマージュ堺

とはいえ、さすがにここは再開発、何のために作ったのかよくわからない設備もちゃっかり整備されている。代表的なのがこの「図書館前シースルー階段」。その名の通りスケルトンで作られた階段なのだが、なぜか2階と3階のワンフロア分だけ設置(少し離れた場所に1階へ向かう階段あり)、しかも館内にはエスカレーターが図書館営業時間内ずっと稼働していることもあって、この階段を使う人は皆無となってしまっている。周辺の落ち着いた色合いもあいまって非常に目立つ存在になっているんですが、いったい何がしたかったのか、不思議でなりません・・・。

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