九州福岡県福岡市

協同組合が破産!福岡・渡辺通「サンセルコ」はどうなってしまうのか!?

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※今回破綻を申し出たのは「サンセルコ商業協同組合」という、サンセルコの商業施設部分を運営する組合です。サンセルコのビルそのものを管理する「サンセルコビル管理株式会社」という企業があり、こちらの財務状況は悪くないようです(「協同組合が破産!今後どうなる?」の頁で解説)

九州随一の大都市・福岡。九州で一番というその特性からか、現在も人口を増加を続けているほか、七隈線の延伸開業、大規模再開発計画「天神ビックバン」の実施など、近年にしては珍しく明るい話題の多い街といえよう。

サンセルコ

そんな福岡市の中心地区・天神のすぐ南側、まさしく「天神ビッグバン」の南側にあたる渡辺通地区にはその再開発の先駆者ともいうべき存在である「サンセルコ」という再開発ビルが残っており、現在混迷を極めている状態にあるのだという。今回は、そんな渡辺通に位置する再開発ビル「サンセルコ」について、その様子を見ていくこととする。

渡辺通第一種市街地再開発「サンセルコ」

サンセルコ

サンセルコは、福岡県福岡市中央区に位置する再開発ビル。福岡市の再開発事業「渡辺通地区第一種市街地再開発事業」により1979(昭和54)年に開業した。

サンセルコ

建物は大きく3つのエリアに分かれており、手前の下層階が商店・食堂等の入る商業エリア、左側がホテル「ニューオータニ博多」、右側がオフィスゾーンとなっている。オフィスゾーンはかつて福岡放送の社屋となっていたようで、屋上にある塔のようなものはその名残となっているらしい。

サンセルコ

当初はキーテナントとして百貨店を誘致する予定だったというこのサンセルコ。しかし、百貨店を誘致することは結局叶わず、キーテナントなしのまま開業。現在もキーテナントがないまま専門店街だけが並ぶなかなかに面白いビルとなっている。

サンセルコ

そんなサンセルコだが、なんと2023年9月15日、運営を行う「サンセルコ商業協同組合」が福岡地裁から破産宣告を受けていたことが判明した。ここからは、その詳細と背景にある事情に振れていくこととしよう。

協同組合が破産!今後どうなる?

サンセルコ

1979年に開業し、現在に至るまで往時の姿を留めているこのサンセルコ。そんなサンセルコだが、なんと2023年9月「協同組合が破産宣告を受けた」というニュースが流れ、人々に衝撃が走ったのは記憶に新しい。ここからは、その内部について見ていくこととする。

サンセルコ

まず重要な点として、今回破産となったのは「サンセルコ商業協同組合」という商業部分の運営を行っている組合であり、ビルそのものを管理する「サンセルコビル管理株式会社」とは異なっている、という点である。あくまで商業部分の運営組合が破産しただけで、この破産だけで「サンセルコが潰れる」訳ではない、という点には注意が必要だ。

ビル運営は継続中だが、問題はあると言わざるを得ない

サンセルコ

では、そのサンセルコビル管理株式会社の状況はどうなっているのだろうか。福岡市公式サイトに掲載されている「サンセルコビル管理株式会社について(令和5年9月)」という資料をもとに分析を行おう。

サンセルコ

まず令和5年3月31日時点での貸借対照表から。ここで気になるのはやはり未収入金と貸倒引当金の部分だろう。一般に未収入金に対し、8割近くの貸倒引当金が計上されているのは明らかに異常で、何かしらの問題があることを暗に示唆している。このあたりから、2023(令和5)年9月に商業組合が破綻したと言われても全く驚かないことが分かる。

サンセルコ

続いて損益計算書。やはり貸倒引当金に関する場所が目につくが、注目してほしいのが「貸倒損失」の項目。貸倒引当金の金額の割に貸倒損失の金額はそれほど大きくないことから、「何かしらの問題こそ認識してはいたが、それが表面化しなかった」ということが容易に読み取れる。

サンセルコ

また、元福岡市議会議員である荒木龍昇氏2004年に自身のブログにて、

もはやサンセルコの事業は破綻しており、このままでは自然消滅するしかなくなる。抜本的な再建策が必要である。

という指摘を行っており、2004年時点で厳しい状況にあったことがうかがる。では、そんなサンセルコの2023年訪問時の様子はどうなっていたのか。ここからは、写真とともにサンセルコの様子を見ていくこととしよう。

 

あまりにレトロすぎる内部、どうなってしまうのか

サンセルコ

サンセルコ

サンセルコの歴史と状況について見たところで、その現状に迫っていく。まずは入口から。入口の時点で既にいかにもレトロっぽい雰囲気が漂っており、時代の長さを感じられる。凸凹が目立つ階段状の建造物は「ステップガーデン」という名称がついており、エーゲ海の海岸段丘をイメージしているのだとか。同じような形状で有名だった西武大津店も1976年の開業だし(サンセルコは1979年開業)、流行みたいなものなんでしょうね。

サンセルコ

中へと入っていこう。カードOKの掲示が非常に懐かしい。

サンセルコ

サンセルコ

中の様子はこんな感じ。いかにもシックな時間が流れており、昭和という言葉が実に似合う状態。空いているお店が多くないからか、全体的にお客さんも多くなかったが、なかなかに情緒のある景色が広がっていた。

サンセルコ

サンセルコ

サンセルコ

しかしこれまた強烈な空間だこと。何をどうすればこうなるのか、逆に知りたいくらいです。

サンセルコ

館内の大階段から外の様子をうかがう。再度の再開発が噂されているこのサンセルコだが、今後どうなっていくのか。昭和を残す福岡でも数少ないビルとなっているだけに、末永く続いてくれることを願うばかりだ。

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