何の変哲もない一ベッドタウンと思われがちな兵庫県伊丹市だが、かつてはジャスコにニチイ、関西スーパー、ダイエー、その他多数の商業施設が建ち並び、隠れた商業戦争の地帯となっていたことは意外に知られていない。現在はその繁栄を支えた様々な商業施設も勝者と敗者がはっきりと分かれ、その面影は少しずつ薄れてはいるものの、往時の様子を現在も各所で観察することができる。
今回ご紹介する「伊丹サンロード商店街」もその一つ。今や兵庫県のみならず周辺地域にも数多くの店舗を展開するスーパーが2つも創業したというなかなか凄い商店街なのだが、現在では片方が営業中、もう片方が閉店という差が出ている状況だというのだ。今回は、そんな兵庫県伊丹市に位置する「伊丹サンロード商店街」について、その様子を見ていくこととする。
2つのスーパー創業の地「伊丹サンロード商店街」
伊丹サンロード商店街は、兵庫県伊丹市に位置する商店街。「Viva伊丹商店街」という愛称がついており、商店街内の看板にも「VIVA ITAMI」という看板を随所に見ることができる。
商店街の歴史に関しては、商店街の公式サイトに詳しい記載がなされている。簡単に要約すると、
元来酒造の町として江戸時代から栄えていたという伊丹の街。大正期に阪急電車が開通したのち、賑わいが伊丹駅周辺に移っていき、高度経済成長期にそのポテンシャルが開花。昭和40年頃に「関西スーパー」「スーパーエース」という2種類のスーパーが開業し、昭和61(1986)年に商店街振興組合が結成、アーケードを新築して今に至る
のだという。アーケードは意外と遅い時期の完成のようだ。
関西スーパー中央店
開業当初の関西スーパー中央店
そんな伊丹サンロード商店街で1986年から一貫して核店舗となっているのが、商店街南端に位置する「関西スーパー」である。関西スーパーの1号店として1959(昭和34)年に開業し、のちに「伊丹ショッピングセンター」として食料品のみならず様々な商品を取り扱う施設へと変貌。2016(平成28)年には建物が最新のものへと建て替えられ、現在に至る。本店ということもあって面積も広く、いつも多くの人で賑わいを見せている。徒歩10分圏内に他に2店舗も関西スーパーがあるにも関わらず、だ。
＜徒歩10分圏内に位置する他の関西スーパー＞
旧エース新鮮館伊丹店駐車場跡地。昨日撮影。どうせ家を建てるだろうね pic.twitter.com/uKHIMvLHs8
— はぐれ戦士。ジプシー (@heisei0718) April 15, 2020
そんな関西スーパーの向かいに位置していたのが「スーパーエース（ブルドッグ新鮮館伊丹店）」。ブルドッグ新鮮館という名称には聞き馴染みがないかもしれないが、関東・関西に数多くの高級スーパーを展開する「北野エース」系列の1号店としてオープンした施設で、関西スーパーより遅れること3年、1962(昭和37)年に開業。しかし、こちらは2014年12月31日をもって閉店し、現在はマンションが建設されている。
そんな状況下にある伊丹サンロード商店街だが、現在の様子はどうなっているのだろうか。ここからは、写真とともに伊丹サンロード商店街の様子について見ていくこととする。
片方は現在も営業中、もう片方は閉店・・・した商店街の実情
伊丹サンロード商店街の概要と歴史について触れたところで、その様子について見ていこう。伊丹サンロード商店街は、周辺のアーケード商店街以外に阪急伊丹駅前の道沿いにも商店街が広がっており、周辺の施設を合わせる形で展開されている。正直、結構規模が大きい。
その道をてくてく歩いて行くことにより、中心と思われるアーケード商店街へとたどりつく。周辺と合わせて一体的に開発されたからか、非常に一貫性があり、アーケード商店街らしい美しさが随所に漂っている。
ショッピングカーニバル かわいい。
中へと入っていこう。アーケードの中心は関西スーパーのある南側に寄っているからか、駅に近い北側の人出がやや少なくなっており、この手のアーケード商店街ではやや珍しい景色が広がっている。
中の様子はこんな感じ。アーケード商店街としては平均的なところか。商店街中央には「サン専門店」なる様々な店舗が集まった複合施設があり、色々と工夫が凝らされていることがうかがえる。
商店街南端「関西スーパー」が1つのタウンになっている件
商店街南端にやってきた。先述した通り、伊丹サンロード商店街の南端には関西スーパーの1号店が軒を連ねており、かつてスーパーエース（ブルドッグ新鮮館）のあった向かい側のエリアを取り込んで一大タウンを形成している。もはや一つの街みたいになってしまっているんですが・・・（笑）
関西スーパータウン(勝手に命名)の中には、スーパーのみならず、ドラッグストアやフードコート、銀行ATMといった店舗が営業中。・・・普通の関西スーパーとあまり変わらないですね（笑） このあたりは関西スーパーの強みというのか、弱みというのか、評価の分かれるところでしょう。開業が新しいこともあり、そのあたりは綺麗ですね。
なお、関西スーパーの出店表明当初、地元の商店主から猛反対があったことを最後に付け加えておきます。関西スーパーが今や阪急阪神百貨店の傘下に入るだなんて、当時の人々は想像もできなかったでしょうね・・・。
