近畿兵庫県神戸市

東灘区唯一のアーケード商店街「甲南本通商店街」に、2つの元市場の驚きの格差を見た

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兵庫県の県庁所在地・神戸市で最も東に位置する区、東灘区。阪急・JR・阪神が並行して走っているエリアに位置するこの東灘区は阪急岡本駅・JR住吉駅・阪神御影駅あたりを中心として発展しているが、意外なことにこれらの駅前には一切アーケード商店街が設置されておらず、隣の芦屋市ともども阪神間では少々奇特な風景を見せてくれている。

甲南本通商店街 北側入口

しかし、やはりここは関西。アーケード街が全くないということは決してなく、駅から少々、いやかなり離れた場所にアーケード街が位置している。最寄りの駅から歩いて10分ほど歩かなければならず、都会の中にしては随分と辺鄙な場所にあたるのだが、そんな場所になぜか本格的なアーケード商店街が整備されているのだ。今回は、そんな東灘区唯一のアーケード商店街、「甲南本通商店街」について、その様子を見ていくとしよう。

東灘区唯一のアーケード街「甲南本通商店街」

甲南本通商店街

甲南本通商店街は、兵庫県神戸市東灘区、場所で言うとJR神戸線の摂津本山駅と住吉駅のちょうど間に位置する商店街だ。兜のデザインが印象に残るこのアーケード商店街だが、冒頭でも書いた通りアクセスはあまり良くなく、JR神戸線「摂津本山」駅から徒歩10分ほど、阪神電車「青木」駅から歩いて12~15分ほどかかる。かつては商店街のすぐ横を走る国道2号線上に路面電車が設けられていた時期もあったが、現在はそれも廃止、その代わりに阪神西宮と三宮とを結ぶバス路線が整備されてはいるものの、1時間に3本の運行と普段使いにはやや不安が残る印象を覚える。

甲南本通商店街

さて、さっそく商店街の中へと入っていこう。商店街の公式サイトに「神戸らしい上品さと下町の人情を併せ持つ地域の皆様が楽しい出来事に出会える、そんな商店街を目指しています。」と書いてある通り、他のアーケードに比べるとやや落ち着いた小ぎれいな印象を受ける一方、国道と接続する側には非常に広い駐輪場が整備されており、歩いて行くには遠いな・・・と感じている人々もちゃんとカバーしている。賢い配置だねぇ(笑)

甲南本通商店街

商店街の中は非常に落ち着いていた。坂の多い神戸らしく、南側に向かって緩やかな下り坂、北側に向かって緩やかな上り坂が続いている。大阪だと空堀商店街あたりでしか見られない光景で、こういう場所に来るとやはり神戸感を感じずにはいられない。神戸ならたくさんあるんですけどね。春日野道商店街とか典型的な例ですが。

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甲南本通商店街

お店ひとつをとっても、やはりここは神戸なんだ、ということを感じずにはいられない。文房具屋ひとつとっても「STATIONERY」だなんてシャレた名前を使っているし、やはり風土の違いを感じる。

甲南本通商店街

そしてそのすぐ近くには「コストコの人気商品やおすすめ雑貨 その他、輸入食品など多数取り扱ってます!!」の看板が。この手のお店は今でこそよく見かけるが、こちらのお店はなんと2010年から営業を続けているとのこと。確かに尼崎のコストコも死ぬほど混んでいるし、この手の商品を求める方も多いのだろう。激安品に比べるとちょっと高いけど、実際モノは良いしね。

甲南本通商店街 甲南グランド

あ、ちゃっかりパチンコ屋も営業してましたよ。どこまでいってもここはやはり商店街。JRより南側にあたるわけだし、たとえ神戸とはいえど庶民的な街並みが広がっているって訳でした。さすがにパチンコ屋が我が物顔でぞろぞろ並ぶ新開地商店街ほどではないけれど。

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元新甲南市場・再開発ビルの稀有な成功例「KONAN食彩館」

(2022年12月追記)閉店しました。

甲南本通商店街 食彩館

先ほども書いた通り「神戸らしい」様相を見せるこの甲南本通商店街だが、その中には短い商店街ながら2つのスーパーが立地しており、1つが「コープさん」ことコープこうべ、そしてもう1軒がこちらの「KONAN食彩館」である。なんだかたくさんチャリンコが置いてあるあたり、相当賑わっているようだ。

甲南本通商店街 食彩館

一見ただのチェーン系スーパーに見えるこちらのスーパーだが、実はこちらのスーパー、阪神・淡路大震災で市場そのものが全開した際、もともと市場があったところを再開発し、その際に市場まるごとスーパーに業態変更してしまったというなかなかいわくつきの施設となっており、かつて市場でお店を営んでいた店主たちが新しいお店の共同事業者として営業を続けるという少々変わった形態を取っている。その証拠に、「神戸市小売市場連合会」の公式サイトでは「新甲南協同組合」という名称で組織が登録されていたし、店舗一覧にも明らかに個人商店と思われるお店が何軒も「店舗一覧」に書かれている。

甲南本通商店街 食彩館

そんな食彩館の内部がコチラ。いや、明らかにスーパーやんけ。段ボールが陳列されているあたりはさすがに市場の面影が残っている部分もあるが、それ以外の点においてはもう完全にスーパーにしか見えない。

しかしそれにしても人多いな・・・。人の多い時間であるとはいえ、ものすごい混雑である。でもこれだけ人いるとなると市場関係者も大喜びだろう。今は市場上がりの店としては珍しくネットスーパーにまで対応しているし(2022年廃止)、現状多くの市場が苦境に喘いでいる現状を考えると、このへんはモデルチェンジがうまく成功した例といえるのではないだろうか。

甲南本通商店街 コープこうべ

ちなみに同時間帯のコープこうべの状況がこちら。チャリンコの数を見ても明らかに数が少なく、事実中もスカスカだった(スイマセン、撮影禁止でしたので画像はありません)。「生協最強」と言われるあのコープさんが負けるとは・・・ 神戸では珍しい、コープさんの苦しそうな現状が垣間見える瞬間でした。

元甲南市場の寂しすぎる今

甲南本通商店街 甲南市場跡地

先ほど、甲南本通商店街沿いにある「新甲南市場」を紹介した。しかしこの甲南本通商店街には新甲南市場以外にもう1つ、「甲南市場」なる市場がかつて存在しており、現在もその跡が残っている。そしてこれがその跡だ。赤色のレンガ道が東西に続いており、現在も往年の姿を思い起こさせている。

甲南本通商店街 甲南市場跡地

しかし、こちらの甲南市場は先ほどの新甲南市場とは異なり現在も特に整備されることはなく寂しい姿を残している。先ほどの新甲南市場の見事な再生具合とは大きな違いだ。一部は再開発されて住宅が並ぶようになったものの、先ほどの新甲南市場と違い商業を営むお店は残っておらず、昔のにぎわいはどこへやら・・・といった印象を覚えてしまう。

甲南本通商店街 甲南市場跡地

しかし、同じ商店街内にあった市場でもここまで差が出てしまうとは・・・。

変化に対応できない企業は潰れるとよく言われているが、どうやらこの現実は地元の市場でも変わらないようだ。古いやり方に固執せず、新しいものへと目を向ける。人間、一生勉強ですね。

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