香川県高松市は、言わずと知れたうどん県・香川県の県都であり、最近では瀬戸大橋開通によるストロー現象が叫ばれているものの、高松市独自の「商店街を再生させる」取り組みが功を奏し、現在では年に1万人以上の関係者が訪れるほどの注目の街となっている。そんな高松市街地だが、「商店街を再生させる」取り組みが成功したこともあってか、商店街に人が集まっていることが特徴で、大型商業施設が他の都市と比べ極端に少ないという面白い点が挙げられる。
そんな高松市街地であるが、もちろん大型施設が全くないということはなく、高松駅の目の前にある「高松サンポート」や、商店街の北端に位置する「高松三越」など、人を集める「核」となる施設が市街地の至るところに出店している。今回はそんな中でも、商店街の東端に位置する大型商業施設、「瓦町FLAG」をご紹介しようと思う。
瓦町再開発とともに出現した大型施設
瓦町FLAGは、「瓦町地区再開発」なる再開発事業とともに開業した建物だ。このビルの正式名称は「コトデン瓦町ビル」と言い、当初は琴平電気鉄道と大手百貨店のそごうが手を組み、「コトデンそごう」として1997年に華々しく開業した。しかしながら、開業からわずか3年後の2000年にそごう本体が経営破綻してしまい、その債務整理に追われる形で2001年に閉店。その後岡山県に本店を持つ百貨店、天満屋が入居するものの、こちらも2014年に閉店、その1年後の2015年に専門施設を集めた「瓦町FLAG」として再開業し、今に至っている。
先ほども書いた通り、ビルそのものは琴平電気鉄道の所有となっている。そのため、ことでんに乗ると至るところに「瓦町FLAG」の宣伝が書かれている。なお、ここまでで「コトデン」と「ことでん」の文字が混在しているが、これは21世紀に入ってから愛称を変更したためだ。
まあ宣伝するものがあるのかと言われると別にないようなのですが。
スカスカすぎるテナント
そんな数奇な運命をたどった瓦町FLAGだが、先ほどの何も宣伝が書かれていない掲示板を見ればすぐにわかるように、決して良いといえる経営状況下にはないのが実情だ。
瓦町FLAGのフロアマップを見てみよう。瓦町FLAGは地下1階~10階までの11フロア+屋上という形で構成されている。一見きれいにテナントが埋まっているように見えるこの施設だが、実際に商業施設として機能しているのはB1~5Fの6フロアのみと、寂しい印象がぬぐえない。それに加えて、なぜか7Fにオフィス専用のフロアがつくられていたり、それを挟むようにして6Fと9Fに同じような施設(塾など)が分かれて設置されていたり、10Fフロアが「カルチャー・カフェ・うどんのフロア」などといかにも香川らしくなっていたりと、いろいろとめちゃくちゃなフロア構成だ。とりあえずテナント埋めたいから詰められるだけ詰めました感が強い。
そんな中でも、やはり10Fの「カルチャー・カフェ・うどんのフロア」が気になって仕方がない。本来最上階に入るのは「レストラン街」ではなかろうか。先日弊編集部が特集した「小倉駅前アイム」でさえ、最上階にはちゃんとレストランが入居していた。その中で「うどん」って・・・。編集班は、10Fフロアへと直行することにした。
<小倉駅前アイム>
確かにうどん屋はあった。しかし、どうやらランチタイムとディナータイムしか営業していないようで、編集班が訪問した際は休憩中となっていた。
そしてそれ以上に驚いたことに、なんとうどん店はこの1店舗しかなかった。「カルチャー・カフェ・うどんのフロア」として大々的にうどんを宣伝しているにも関わらず、この状況とは・・・。
そしてうどん店以外のエリアには、閉業したレストランの跡地が広がっていた。どうやら、実際ここは「うどんのフロア」でもなんでもなく、もともとレストラン街だったのが、どんどんお店がつぶれていき、結果うどん屋だけしか残らなくなったというのが実情のようだ。取って付けたようなひどい話である。
これに関しては、その他のフロアに関しても同様のようだ。商業施設として機能していない7Fより上の階では、どの階も広すぎる面積を埋め切れていないようで、どこも使われていない悲しい空間が広がっていた。
うどん県・香川らしく、うどんプリなるものまで用意されていた。こんなスカスカ施設にこんなものをわざわざ作ってみて、それで撮る人間なんかいるのだろうか・・・。
何はともあれ、やはりここは元・百貨店である。床はピカピカに整備されているし、1997年開業と、豪華絢爛な施設を構える元そごうにしては新しいこともあって明るい雰囲気が演出されているなど、良いところはちゃんとしっかり活用されている。とはいえ、それを賄いレベルで空きテナントが出てしまっているんですが・・・
<元・そごうの例>