近畿兵庫県神戸市

神戸の下町・湊川に、「神戸らしくない」風景が残っていた件。

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「おしゃれ」という印象ばかりが先行する街・神戸。

しかし、その神戸市とて150万人の人口を抱える都市であり、全てのエリアがおしゃれであるわけがなく、神戸市中心部・中央区の周辺に位置する兵庫区や長田区、灘区といったエリアには下町庶民文化がさぞ当たり前であるかのように転がっている。実際、神戸市公式移住ポータルサイト、KOBE addressでは「下町情緒エリア」という名前で「湊川・新開地周辺エリア」「新長田周辺エリア」の2つが取り上げられている。

今回はそのうちの一つ、「湊川エリア」についてご紹介しようと思う。

<新開地エリアについてはこちら>

新開地商店街 パチンコ屋だらけの商店街に神戸の闇を感じた。【兵庫区】
「おしゃれ」という良いイメージばかりが先行する神戸市だが、だからといって全てのエリアが小綺麗であるわけではないということは前回の記事でも述べたとおりである。<前回の記事>このいわゆ...

やる気のない神戸電鉄

神戸電鉄湊川駅

湊川エリアの中心地となるのは、神戸電鉄の湊川駅、神戸市営地下鉄西神・山手線の湊川公園駅である。この2駅は名前こそ違うものの、駅としては一体となって運営されており、もともと神戸電鉄のターミナル駅となっていたこともあって、神戸高速鉄道の途中駅となった現在でも、それなりの体裁を保っている・・・のかと思いきや、意外とそうでもないのが現状だ。

神鉄観光

神戸電鉄湊川駅の改札を出て地上に上がると、まず最初に見えてくるのが「神鉄観光」なる、神戸電鉄の子会社が運営する旅行代理店だ。このエリアには、個人経営と思われる居酒屋がひしめいており、いかにもアングラな雰囲気が既に出ている。もはや下町というより「裏側」とでもいったほうが良いのかもしれない。それにしても、JALの看板古すぎだろ・・・。

「神鉄観光」に載っているJALのマークは、1989年から2002年にかけて使われたものです。つまり、ここの看板は18年以上変わっていないということを意味します・・・
追記)修正されていました(2021年7月23日確認)

そして、この「神鉄観光」なのだが、なんと土日祝日休みという体たらくである。昨今、新型コロナウイルスの影響で観光業界が大きな打撃を受けているのはみなさんご存じかもしれないが、ここの店舗に関しては昨年からずっとこの状態らしい。法人を中心に相手にしているというのもあるかもしれないが、いくら何でも少々やりすぎだろ、と感じざるを得ない。
そして画像を見ればわかる通り、「しばらくの間、営業時間を 平日10時から13時半まで とさせて頂きます」とまで書かれている。Go To キャンペーンをしててもこれですよ。平日の9時から15時までしか営業してくれない銀行も真っ青だろう。なんというやる気のなさだ。
神鉄横丁入口
神戸電鉄のやる気のなさは「神鉄観光」に留まらない。湊川駅から直結している「神鉄横丁」もこの状態だ。いったいいつ建てられたのか想像もつかないが、おそらく特にリニューアルもされないまま令和の時代まで来てしまったのだろう。湊川駅が神戸電鉄のターミナルだったころはさぞかし賑わっていたのかもしれないが、これも今となっては完全に時代遅れ。昭和の時代そのままのたたずまいが今でも見られる、ある意味貴重な地下街となってしまっている。神戸電鉄のターミナルだった湊川、その大地主であるはずの神戸電鉄自身がこれじゃあ、いつまでも発展しないだろうな・・・。

再開発ビルと商店街が共存する街並み

湊川パークタウン入口

しかし、それだけで終わらないのが湊川のすごいところ。神戸電鉄のおかげで昭和一辺倒の街並みになっているかと思いきや、「湊川パークタウン」なるシャレオツな建物だってちゃんとある。おしゃれタウン(笑)・神戸、そして阪神淡路大震災の影響は、こんなところにまで出てしまっている。

公園の下に再開発施設。「湊川パークタウン」の不思議すぎる構造とは【神戸・兵庫区】
日本には実に多くの「変な施設」があるもので、これまで当Webサイトでも「青空が見えてしまう地下街」や「小さすぎてまともに成立していない百貨店」等、関西地区を中心に全国の様々な事情を...

湊川パークタウン フロアガイド

湊川パークタウンの最大の特徴は、なんといっても公園の下にショッピングセンターを作ってしまったという点に尽きるだろう。公園が3階にあるという時点で既に驚きなのだが、これは天井川の跡地に公園を作ったという事情があるかららしい。それにしても、昔の人間はどうすればこういう発想が出てきてしまうのか、驚くばかりである。

そんな事情もあってか、公園の中には上の写真のように「地下鉄 パークタウン入口」と書かれた入口が随所に存在する。まぁ、ここから地下鉄に行こうとしたら4フロア分降りなければいけない訳ですが。階段を降りた先は2階だからね。

ハートフルみなとがわ エスカレーター

そして、先ほどあげた湊川パークタウンのすぐ近くに位置する「ハートフルみなとがわ」も同じようなビルとなっている。こちらは阪神淡路大震災の後、もともと市場だったところを使って建て直されたという経緯もある関係か、吹き抜けが非常に多く、まるでどこかのイ〇ンと勘違いするほどキレイだ。

ハートフルみなとがわ 2F

とはいっても、あくまでそこは再開発ビル。もともと土地を持っていた地権者が多数入居しており、元々市場だった関係もあって肉屋や魚屋といった、おおよそ再開発ビルらしくない光景が広がっていたりする。そしてその肉屋でコロッケを買い求める高校生たち・・・ イ〇ンじゃ絶対見られない光景の誕生だ。自由な街やなぁ。

しかし、たとえそのような再開発ビルの1つや2つがあったところで、それらはメインではない。あくまでメインは商店街なのだ。様々なお店が立ち並び、人がそこで買い物をする。そんないかにもな空間がそこには広がっていた。たとえ「オシャレタウン」と呼ばれる神戸市であっても、その本質は変わらないのだ。そんなことを感じる「日常」が、ここ湊川にはあった・・・

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