「山から海へ」というスローガンのもと、ニュータウン開発を各地で進めた神戸市。その派手な施策は「株式会社神戸市」などと呼ばれ、かつては自治体経営のモデルとして非常にもてはやされた時期もあったが、人口減少が進む現在では逆にこれが足を引っ張っている気がしてならない。
そんな各地のニュータウン運営を一手に担っているのが、神戸市が大半を出資する第三セクター「株式会社こうべ未来都市機構(旧・OMこうべ)」である。ニュータウンエリアにおける賃貸オフィス・商業施設・駐車場・集会所・スポーツ施設等、実に様々な事業を展開しており、第三セクターながらここまでデベロッパー事業をやっているとは・・・と驚かされるばかりだ。
そんなこうべ未来都市機構は、神戸市の各所でショッピングセンターを運営しており、それぞれ五者五様の非常に面白い施設展開がなされている。ということで今回は、こうべ未来都市機構が運営するショッピングセンターとその内容について、まとめていくとしよう。
こうべ未来都市機構の運営するショッピングセンター一覧
こうべ未来都市機構(旧・OMこうべ)が運営するショッピングセンターは、以下の5施設である。
・リファーレ横尾(地下鉄妙法寺駅前)
・須磨パティオ(地下鉄名谷駅前)
・キャンパススクエア(地下鉄学園都市駅前)
・セリオ(地下鉄西神南駅前)
・プレンティ(地下鉄西神中央駅前)
見事に地下鉄西神・山手線沿線ばかりにあるのが少々面白いですね(笑)
ここからは、これら5つの施設について、その概要を見ていくとする。
リファーレ横尾(妙法寺駅前)
リファーレ横尾は、地下鉄妙法寺駅前にある商業施設。周辺は神戸市でも最初期に開発されたニュータウンとなっており、客層の高齢化が進んでいるのが特徴。テナント数も核テナントのコープこうべの他には40ほどと少ないが、100円ショップや書店といったテナントは一通りそろっており、地域の方々の拠点となっている模様だ。
須磨パティオ(名谷駅前)
須磨パティオは、地下鉄名谷駅前にある商業施設。今回挙げた5つの商業施設の中でも最古参で、なんと1980年の開業。全国のショッピングモールでもかなり古い部類に入るといって良いだろう。
建物は核テナントに百貨店の「大丸須磨店」とスーパーの「ダイエー」。今回の5施設の中で唯一百貨店が入居しており、拠点性の高い施設といえるだろう。須磨区全体を見ても最大級の規模を誇る施設となっており、お客さんも多く常に活気があふれているのも良い点。2022年以降も再整備が行われることから、今後にも注目だ。
キャンパススクエア(学園都市駅前)
キャンパススクエアは、地下鉄学園都市駅前にある商業施設。周辺に高校や大学が多いという特性上、若者の割合が非常に高く、それに呼応するかのように若者ウケを狙ったテナントが多く入居(ファーストフード店など)しているのが特徴だ。
建物の隣には、1985円にユニバーシアード神戸大会が行われた際に整備を行った「ユニバ―ドーム」という豪快な広場も完備。このご立派な広場もぜひ一緒にご覧ください。
セリオ(西神南駅前)
セリオは、地下鉄西神南駅前にある商業施設。今回挙げた5施設の中では最も新しい施設となっている。西神南地区そのものが西神・山手線全線開業後に追加で整備されたというその経緯からか、ベージュ色が前面に押し出されている他の4施設とは異なり、赤系の色が前面に押し出されているのが見ていて面白い。
妙法寺の「リファーレ横尾」と同様、地域の住民向けに作られていることもあり、全体的に見どころは多くない。しかしその中でもニュータウンらしい工夫が各所になされており、見ていて感心してしまう。他の4施設と比べると少々浮いている印象が否めないこのセリオという商業施設だが、ぜひ一度訪問してみてほしい。
プレンティ(西神中央駅前)
プレンティは、地下鉄西神中央駅前にある商業施設。今回の5施設の中でも最も規模の大きい市設となっており、電車の終点に恥じない巨大な施設が出来上がっている。
核店舗としては「ダイエー」が入居。それ以外にも実に多種多様な店舗が軒を連ねており、見ていて非常に面白い。百貨店「そごう」が撤退したこの西神中央駅周辺だが、その中でどうかじ取りを行っていくのか、今後に期待したい。
まとめ 五者五様でおもしろい!
いかがだっただろうか。「株式会社神戸市」と呼ばれ、日本中から羨望の的となった街・神戸。その中で開発されたニュータウンが今後どう変わっていくのか、その将来に期待したい。